■Vol.8~「お客さまのメッセージから その2」
いつもブログをご覧いただきありがとうございます。
心理カウンセラーの近藤あきとしです。
昨日の記事からの続きです。
お友だちには今、楽になるための逃げる場所も、自分がラクになれるという希望の光も見えない状態でいるかもしれませんね。
そんな時には周りの人が先に逃げ場や、ラクになることを選んで、先を行って、待っていてあげたほうが、お友だちにとっては、ずっと周りの人に対して罪悪感を感じなくてすむんです。
お友だちは、自分は何の役にも立てていないし、むしろ迷惑な存在だと思っているようですよね。
心の中の本心では、周りの人に幸せでいて欲しいと願っているのにそうすることのできない自分に失望しているんじゃないかな?と感じられたんです。
私自身うつ病に苦しんでいた時には、何度も死んでしまいたいと思ったものですが、本当に死にたいというより、まるで砂で出来た山が風に吹かれて消えていくように、自分という存在が消えて無くなればいいのに、という気持ちでいました。
「きっと私がいなくなっても誰も気にしないだろう。むしろ、そのほうが世の中は良くなるだろう」と思っていましたよ。
病気に苦しんでいながら、それでも自分よりも周りのことを思っていたくらい、
私にとっては誰かの役に立てていないことが、情けないし、申し訳ない、こんな自分が許されるはずがない、という感情で自分を攻撃していたと思います。
もしかしたら、お友だちも似たような気持ちでいるのではないかと思ったんです。
「私が死んでも誰も困らない」この言葉の裏には、お友だちがどれだけ周りを困らせてしまうことが嫌いで、誰かの役に立てないことが辛いことなのかを示している気がします。
そして死んで生まれ変わりでもしない限り、この苦しみからは逃れられないと感じているかということも。
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心配している誰かがいると、その人を見たりその人を思う時はとても苦しいものです。
それが長月さんにとって大切な人なら、なおさらですよね。
助けてあげたい気持ちが大きいほど、その苦しみも大きくなるでしょう。
助けたいのにそうする方法が見つけられない時、私たちは自分の力不足や役に立てないということにガッカリして傷ついてしまうんです。そして自分を責めてしまうんですね。
だからもし、その大切な人を差し置いて、自分だけがラクになることが出来るとしてもそれを選ぶことはとても難しいでしょう。「申し訳ない」という気持ちが、どうしてもラクになる道を選ぶことを邪魔してしまうんですね。
今はあえて長月さん自身が、逃げられる場所を見つけたり、気持ちをラクにできるモノを先に手に入れていくことが必要だと思います。
思いっきり楽しめるモノ、時間を忘れるくらいボーっとできる場所はありますか?
もし思い当たらないのだったら、これから少しずつやってみたいことを、遠慮することなく体験していくことに取り組んでみてくださいね。
自分を大切にするって、そういうことなんです。
うつから抜け出すには「楽しさ」を感じることが、とても重要なんですね。
でも本人にはそれが自分には無いと思っていますし、考えるコトも嫌になっています。
自分を責める気持ちがあまりに強いので、楽しいことを感じる暇も無いんですね。
楽しいことから無理やり目を逸らしている状態と言ってもいいでしょう。
お友だち自身とてもしんどいし、いつこの苦しみに終わりが来るのか想像も出来ないことで、どこにも希望が見えないと感じているのではないかと思います。
誰に言われるまでもなく、何とかしたいのに、動けないし、考えられないし、どうしたらいいのか分からない、という絶望の中にいるのでしょう。
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そんな時に本当に必要なのは、今までと違う新しい生き方なんですね。
それまで考えもしなかったような、または想像はしても出来るはずが無いと思っていたような、全く新しい道を選ぶことが求められていると、私は自分の経験から感じるんです。
そしてそれは、自分の中からよりも、外の世界からもらう刺激で得られることもとても多いのです。私自身がカウンセリングを受けたことでカウンセラーという新しい、より自分らしい生き方を手に入れたように。
もし長月さんが、自分自身をラクにすることに目を向けて進んでいくことで、楽をしても大丈夫だよ!自分が真っ先に喜んでOK!好きなコトをして生きてイイよ!
という姿を見せることができたら、お友だちは、私も長月さんのように生きてみたいと思ってくれるかもしれません。時間はかかるかもしれませんが、いつかお友だちに自分で未来を選んで、進んでいけるだけの力が戻ってくることを信じてみませんか?
ただし、うつから回復していく過程は、必ずしも順調に進んでいくとは限りません。
むしろ、良くなったり悪くなったりを繰り返しながら、少しずつ回復の上昇カーブを描いていくことがほとんどだと思います。
だから、周りからお友だちを見ていると、せっかく良くなってきていたのに、それを台無しにしているような落ち込み方をしてると見えることも、これから何度も目にすると思います。
今は自分を責める気持ちが強すぎて、自分を攻撃してしまったり、時には周りを攻撃したり、依存的に振舞ってしまったり、酷い自分を見せてしまうでしょう。
だからこそ、長月さんたち周りの人たちの与えてくれる優しさも、受け取る資格なんて私には無い、そんな風に感じて投げ捨ててしまうこともあるかもしれません。
でもそれも、今はそうしたいんだな、という目で見てあげて欲しいんですね。
それには、上に書いたように長月さんが逃げられる場所、ラクになれるモノを持つことで、自分を追い込んだりしんどくならないようにしながら、余裕を備えて関わっていくことが必要なんですね。
いつの日か、お友だちが回復していく過程の中で、傍にいてくれた人たちの優しさと愛情に気づく時が来るはずです。
その時に長月さんが、それまでと変わらずいつも通りでいてくれたら、お友だちは、本当に素直な気持ちを長月さんに見せてくれると思いますよ。
今回はコメントを送っていただいたおかげで、長月さんと同じような状況にいる方たちとも、どう接していけば自分も相手もラクになれるかについてを考える機会を分かち合えました。
本当にありがとうございました。
(続く…)
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Vol.0~新連載シリーズのお知らせ「あなたの大切な人の『うつ』をラクにする方法」
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Vol.1~「支えている皆さんへ」
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Vol.2~「幸せのリーダーシップ」
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Vol.3~「周りにいるからこそ気づけるサイン」
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Vol.4~「初期段階の心理と接し方のコツ part.1」
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Vol.5~「初期段階の心理と接し方のコツ part.2」
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Vol.6~「初期段階の心理と接し方のコツ part.3」
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Vol.7~「お客さまのメッセージから」
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Vol.8~「お客さまのメッセージから その2」
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Vol.10~「どうして“頑張って”と言ってはいけないのか?」
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Vol.12~「なんとなく調子が良くないとき」
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