人生のゴールはどこにあるのか?

心理カウンセラーの近藤あきとしです。
いつもありがとうございます。

冬季ミラノ・コルティナオリンピックが終わりましたね(パラリンピック開催も楽しみです)。

多くの感動の場面がありましたが、中でも大きな話題になったフィギュアスケート女子シングルは終盤のハイライトではなかったかと思います。

日本女子選手初のダブル表彰台という快挙も素晴らしかったですが、今回特に印象に残ったのは選手たちが楽しむことを大切にしている様子でした。

スポーツに精神論・根性論が幅を利かせていた昭和世代の私が、オリンピックなどの世界的な大会に出場する選手たちに見ていたのは、国を背負い、多くの期待を背負っている姿。そこには少なからず悲壮感が漂っていたものでした。

しかし今回のオリンピック選手たちが見せてくれたのは、たくさんの笑顔と競技そのものを楽しんでいる姿。(もちろん、その裏には厳しいトレーニングがあり、激しい選抜競争があるわけですが)

相手国の選手ともお互いに喜びあい、抱きしめあう姿を見ていると、これが本来のオリンピック・スポーツの姿なのかもしれないとの思いを抱きました。

今のアスリートにとっては、もはや相手選手は倒すべき敵やライバルではなく、お互いに高めあい、時には支えあう仲間としての存在になっているを目の当たりにすると、明らかに時代が変わったことに気づかされます。

金メダルに輝いたアメリカのアリサ・リュウ選手も、本当に楽しそうに滑る姿で魅了してくれました。

インタビュアーに『なぜ緊張せず楽しそうに滑れるのか?』と聞かれた際の言葉が素晴らしかったので引用します

「私は自分の物語や芸術、創造のプロセスを共有するのが好き。
ミスをしても、それらが失われるわけじゃない。
それでも何かが残る。それでも物語になるの。
悪い物語もやはり物語であり、それは美しいと思うから」

20歳にしてこの境地に至っていることには、正直驚きしかないですね。

ニュースでの報道されていましたが、彼女の人生には普通でない出来事がたくさんあり、また16歳での競技引退から2年のブランクを経ての復帰も経験しています。

あまりにも複雑で、答えのない人生の問いを投げかけられ続けても、それらに向き合い受け入れてきた結果、すべてを引き受けて自分の人生にしてきた末にたどり着いた。そんな達観から出てくる言葉なのかもしれません。

さらに驚くのは、彼女の言葉「人生の物語、芸術・創造(アート、クリエイティビティ)、プロセス、共有(分かち合う)」は、私がカウンセリングの中で大切にしている要素と被るものばかりだったことです。

カウンセリングに来られるクライアントの直面する問題というのは様々です。ただその問題が、たとえ恋愛でも夫婦関係でも家族関係でも、あるいは仕事の人間関係、転職・独立、ライフワークなどの悩みであったとしても、根底にあるのはその人の抱える心の痛みと、そこから生じている心理パターンです。言い換えれば「人生のパターン」です。

問題を作っている人生のパターンを見直し、どこに痛みや思い込みがあるのかを読み解いて、心の傷を癒し、思い込みを手放していくことで、幸せの方へ進むパターンへ変えていく。私のカウンセリングの本質はここにあると考えています。

人生の問題をプロセスとしてとらえる。失敗も喪失も、どんな体験にも意味があり、目的あることを見出していく。そしてもう一度、人生を創造し直す。それはまったく新しい生き方を選ぶことでもあり、その人本来の生き方に戻ることでもあります。

自分の内側から湧き上がる感情を大切にした時に、進むべき道が見えてきます。そこへ思い切って一歩踏み出してみると、誰もがあることに気づくんです。

自分で選んだ場所から過去を振り返ってみると、今まで経験してきたことのすべてに意味があったこと。自分の人生は自分のもので、そこには自分だけの人生の物語があり、何物にも代えがたいほど愛おしく、唯一無二の芸術のように美しいものだったことに。

もし人生にゴールがあるとしたら、それは「自分自身を構成するすべての要素(良い部分も悪い部分も)を統合していくプロセス」の先にある、「本来の自分自身」になることなのかもしれません。

アリサ・リュウ選手は、金メダルという外側の評価基準ではなく、自らの内側から湧く感情・心の声を大切にしようと決めていたんだと思います。

そうして自分らしく在りつづけた彼女の望みは叶えられて、結果として金メダルがついてきた。ということなのかもしれませんね。それが、彼女のこの言葉に集約されている気がします。

「金メダルがゴールじゃない。みんなを盛り上げて、特別な体験を届けたいだけ。

私の目標はポジティブなものでもネガティブなものでも、とにかく人々に何かを経験してもらうことです。

みんなが強い感情や期待感を持ってくれている限り、私はそれで満足なんです。」

彼女のインタビューで思い出した、ユング博士の言葉を最後に紹介しておきます。

「自己こそが我々の人生のゴールである。なぜなら、それは個性と呼ばれる運命的な組み合わせの、最も完全な表現だからである」

“The self is our life’s goal, for it is the completest expression of that fateful combination we call individuality.”

人生のゴールとは「自分自身になることへのプロセス」そのものなのかもしれませんね。

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