■Vol.2~「幸せのリーダーシップ」
いつもブログをご覧いただきありがとうございます。
心理カウンセラーの近藤あきとしです。
私は今ではこうしてカウンセラーとして多くの方と関わる仕事が出来るようになれましたが、うつ病からリカバリーを果たしてそれなりに立ち直れたと感じられるまでには長い時間がかかりました。
また今でも、好不調の波はありますし、病気になる以前から比べると無理が効かない、疲れやすいと感じることも多いんですね。
それでも今の自分の状態を感じて、ホントに調子が悪い日には中止や延期できる予定はキャンセルすることもあれば、
今日やるべきコトについて、今処理できる分量にベストをつくして、残りは後日にまわす。または頼めるなら誰かに変わってもらうなどして出来るだけ自分に掛ってくる負担を調整するように心がけているんです。
そのおかげか、ここ何年かは大きく調子を崩すことは少なくなりました。
逆に調子の良い時には、張り切り過ぎからエネルギー切れを起こしてその反動でガックリと落ち込まないように、心のアクセルとブレーキを使い分けて飛ばしすぎないようにセーブすることで、良い状態を長く保てるようにしています。
好不調の波をいつも意識していること、自分の状態を最優先に考えながら少しでもラクで居られるにはどう過ごしたら良いか、を考えることで心のマネジメントをしています。今は昔の私とは比べ物にならないほど、ずっと上手に自分自身と付き合えている気がします。
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本当にどん底に居る時には、この心のバランスを取ることはほとんど意識出来ないように思います。
うつ病を抱える本人には、我慢をする以外の方法は思いつかないからこそ、かもしれないですね。
全部抱え込んで自分で何とかしようとしてきたので、手を抜いたり、誰かを頼ったり弱いところを見せるなんて考えられないことなんです。
だからうつ病になると、自分を責める気持ちがとても強くなっていくのです。
周りからの愛情もサポートも、ほとんど受け取れなくなってしまうんですね。
だから周囲の方たちが、なんとか早く良くなって欲しいと思い、様々な形でさしのべる優しい手にも甘えることなんて出来ませんし、自分を責めるあまり振り払ってしまうこともあるかもしれません。
また自分以外を見る余裕がなくて、すぐ目の前にある優しさにも気づけない時だってあります。
周りに背を向けて、自分だけの世界に閉じこもってしまうのはその為なんです。
それは本人が周囲の方たちを信じられないわけでも、責めているわけではないのです。
ただうつ病によって、心が内側に閉じてしまい、全部自分のせいだと信じて自己嫌悪することしか出来なくなってしまうからなんですね。
周りがそのことを理解していたとしても、そんな状態の本人を長期間にわたって支え続けていくことは、支える人たちにとって簡単なことではないでしょう。
次第に無力感と徒労が積み重なって、心身がひどく疲弊してしまうことも考えられます。
良くなる兆しが見えない状況では、相手を理解をしようと努めても、結果を焦れば虚しさでいっぱいになってしまうでしょうし、
さしのべた手に何の反応も返ってこなければ、どんなに愛している相手に対してでも、愛情を受け取ってくれないことへの悲しみ、寂しさ、怒りで自分を支えることすら難しく感じる日もあるかもしれませんね。
そんなことが続けば、今度は周りで支える側が自分の無力さを感じるようになり自己攻撃をしてしまうこともあるんですね。
その為に力尽きて本人と共倒れになったり、あまりの辛さに耐えられずに、病気を抱えるパートナーとの別れを選んでしまうことも少なくはないのです。
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だからこそ、周りで支える皆さんが元気でいることが大切なんですね。
ちょっとショックなお話に聞こえるかもしれませんけれど、本人の憂鬱につきあっても、それで助けることは出来ませんし、皆さんが代わりに重荷を背負ってあげることも出来ないと私は感じているんです。
むしろ、前回のブログで書いたように
本人が自己嫌悪のあまり受け取ることのできない「ラクなこと」や「楽しいこと」「幸せなこと」を皆さんが自分に許すことがとても大切なんですね。
病人を身近に見ていれば、愛情があるからこそ“放っておけない”と、つらい感情を共有してしまうことはあるでしょう。
「私だけ楽しんでいいのだろうか?」という罪悪感から、無意識的に本人の感情に付き合ってしまうこともよくあります。
それだけに、うつ病の本人と周囲の身近な人とは癒着しやすいものなんです。
それが、周りの人が元気でいることが大切という意味なんですね。
「心から楽しんでOK」「好きなことをして大丈夫」「幸せに生きても良いんだ」という姿を見せることがリーダーシップになるのです。
時には、自分だけこんな良い思いをしてしまうなんて!というくらい楽しんでしまっても大丈夫ですし、こんなに羽を伸ばしても良いの?
ってくらい、のんびりお気楽に過ごしても大丈夫です。
また長期のサポートを継続する為にも、焦ったり、落ち込んだり、疲れきって倒れてしまわないように、「楽しさ・自由さ・気楽さ」という要素を、皆さんが積極的に取り入れていくことが必要なんですね。
本人が苦しんでいるのにそんなこと出来ない!と感じた方もいると思います。
実はそれこそが、うつ病の本人が感じていることなんですね。
「楽しいことなんて考えるのも嫌だ」「好きなことが何かなんて分からない」「何も出来ない・・・」という絶望の中で自分を責め続けているのです。
本人の内面では、絶望が決して越えられない壁のようにそびえ立っていて、諦めることが当たり前の世界の中で生きているようなものなのです。
だからこそ、周りで支える皆さんが「幸せを感じること」のリーダーになって、大切な人を導いてあげて欲しいのです。
皆さんは幸せに満ちた笑顔で、「あなたもここにいて良いんだよ」と大切な人を手を広げて待っていてあげて欲しいのです。
いつかまた一緒に笑える日を信じて。
(続く…)
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Vol.0~新連載シリーズのお知らせ「あなたの大切な人の『うつ』をラクにする方法」
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Vol.1~「支えている皆さんへ」
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Vol.2~「幸せのリーダーシップ」
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Vol.3~「周りにいるからこそ気づけるサイン」
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Vol.4~「初期段階の心理と接し方のコツ part.1」
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Vol.5~「初期段階の心理と接し方のコツ part.2」
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Vol.6~「初期段階の心理と接し方のコツ part.3」
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Vol.7~「お客さまのメッセージから」
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Vol.8~「お客さまのメッセージから その2」
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Vol.9~「必要な時間」
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Vol.10~「どうして“頑張って”と言ってはいけないのか?」
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Vol.11~「いっぱいいっぱいなのはどちらか?」
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Vol.12~「なんとなく調子が良くないとき」
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Vol.13~「なんとなく調子が良くないとき(その2)」
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Vol.14~「普通に接することの大切さ」