「愛されない自分」から卒業するための恋愛カウンセリングのステップ(2)

目次

「愛されない私」という夢から覚めるために

前回のまとめ——癒しは「愛される実感」から始まる

前回の(1)の記事でお話ししたのは↓

・私たちは、誰もが心の中に【○愛される自分】と【×愛されない自分】を抱えている。

・必死に愛されない自分を隠しながら恋愛をしていても、どこかで絶望している。

・「心の癒し」というのは、「愛されないと思っていたけど、愛されるんだ!」そう心から感じたところに起こる。

・それは「心の傷・痛みが作り出した【×愛されない私】」という夢から覚めた時でもある。

カウンセリングルームで、クライアントさんがそんな気づきを得た場面に立ち会えると、まるで「恋愛の問題を通して過去の痛みに向き合い、パートナーとのお互いの傷を癒しあい、絆を深めるために出会った」かのような感覚になります。

癒し合えるカップルに共通する4つのプロセス

さらには、こうした【愛されない自分】を抱えていても、癒しあうことのできるカップルにはある共通点がありました。

  • お互いが過去にどんな体験をして、どんな痛みを抱えてきたかを知る
  • お互いの痛みを分かり合えない問題にするのではなく、癒しあい乗り越えるためのプロセスだと気づく
  • お互いが出会ったことに意味があるとしたら、どんな目的があったのかを話し合う
  • 心の傷を癒した後に、どんな風に相手を大切にしたいのか?どんなパートナーシップを持つことが幸せなのかを分かち合い、お互いの願いを叶えられる方向へ2人で進んでいく

このプロセスを通して、愛されない私という夢から覚めることができるわけです。

今回は実際のカウンセリング事例を通してこのテーマをさらに深く掘り下げてみたいと思います。
(クライアントさんからブログ掲載の許可をいただいてあります)

カウンセリング事例:結婚への不安を抱える女性クライアント

「結婚はしたくないけど、彼とは別れたくない」葛藤の背景

ある女性クライアントのお話です。

彼女は結婚することにものすごく不安を感じていました。

今おつきあいしているパートナーとは良い関係になっていたのですが、彼から結婚の話が出そうな雰囲気になると、のらりくらりと話をそらしてきたとのこと。

詳しく話を聞いていくと、彼女のお母さんもお祖母さんも離婚をしていたことを打ち明けてくれました。

家族の離婚経験が作り出した“結婚=不幸”という思い込み

私たちは子供時代に両親やその親たちなど、身近な大人を見てパートナーシップ、人間関係・仕事・お金の価値観、人生観などを学びます。家族が最初の見本になるわけです。

たとえば、両親の関係性がうまくいっている姿を見ると「夫婦って仲良しなんだ」と思うでしょうし、逆にうまくいっていないと「夫婦ってケンカばかりするんだ」と自然に思うでしょう。

皆さんも友だちの家に遊びに行ったときに、自分の家で起きていることと全然違う様子なのを見てビックリしたことがあるのではないでしょうか?

幼い時期は自分の家が世界のすべてだと感じますから、他の家もみんな同じだろう、と思ってしまうからなんですよね。

「私はきっと離婚する」という恐れが心を縛っていた

子供の頃から、彼女は上手くいかない結婚生活ばかり見てきたので、結婚して幸せになれるとは全然思えなかったようです。

このイメージが恋愛・結婚にネガティブな思い込みを作っていたことで、彼女の人生を制限していたんです。

彼女がいつも感じていたのは、

という不安でした。しかし、カウンセリングを進めていくうちに、心の奥にはまったく別の感情があることが分かってきたのです。

欲しかったけど、もらえなかったもの

親に対する怒りや諦めの奥にある、別の感情

私たちは誰もが、子ども時代に多くのモノを両親から与えてもらいますが、その一方で、欲しかったけど貰えなかったモノもありますよね。

表面的には欲しいモノをくれなかった親に対して、不満や怒りを感じたり、「でも仕方ない・・・」と諦めたりしますが、その奥には表面意識とはまったく別の感情を持っているものなんです。

カウンセリングを通して、当時の両親の姿や表情を思い出していくと、たいていはイライラしていたり、ふさぎ込んでいたり、疲れていて余裕がない様子であることが多いです。

そんな親の様子を感じると、かつて子どもだった私たちは、こう願いました。

そうしたら「優しいお父さんとお母さんに戻ってくれるはず」そんな想いで親を見ていたのです。

家族の感情を癒そうとする“幼いカウンセラー”だった私たち

子どもの頃は、親の期待に応えたいと思って色んなことを頑張りますが、それはすべて期待に応えることで、

という期待を持っているからなんですよね。

子どもは大人の思う以上に家族を見ていますから、自分が頑張ることで家族の感情的なケアをしたりバランスを取ろうとする、ある意味カウンセラーのような存在になることがあるのです。

彼女が気づいた「母と同じ感情」と「彼の言葉」

彼女の場合は、子どもの頃、いつもお母さんが離婚したお父さんへの文句や愚痴を言うのを聞いてあげながら、じつは母の心の中にあった寂しさや無力感・罪悪感を感じていました。

彼は“昔のあなた”——過去の自分との再会

あの頃、そんなお母さんを見ていてどんな気持ちがしたかを聞いてみると、

という想いを思い出していきました。

私はもう一度こんなことを聞いてみました。

「その言葉。今は彼があなたに言ってくれてませんか?」

じつは彼女のパートナーが同じことを彼女に言ってくれていたんです。その時、彼女は自分が母親と同じ感情を抱えていることに気づきました。

「お母さんが幸せになることが怖かった」気持ちを理解する

さらに私はこう伝えました。

「今のあなたなら、お母さんが幸せになることがどれほど怖かったか、大切な誰かを信じることがどれほど不安だったかが分かるんじゃないですか?」

彼女はお母さんと同じ場所で人生を止めていたのです。

私たちは今の問題を使って、今感じている感情を使って、かつて「分かってあげたかった」「助けたかった」誰かのことを、「分かりたい」「理解したい」と思うようなんですね。

「昔、あなたがお母さんにどうしても伝えたかった想い、今は彼があなたに伝えてくれているみたいです。」

「彼は、昔のあなたなんですよ」

すると、彼女は「結婚への不安」のさらに奥にあった本当の想いに気づいて、流れる涙とともに受けとめることができたのです。

結婚への不安の奥にあった“本当の想い”

かつての彼女とお母さんの関係は、今の彼女と彼の関係にスライドしていました。

彼女からお母さんへ伝えたかったのは

今の彼から彼女へ伝えてくれているのが

パートナーは「過去の自分の願い」を映す鏡

皆さんも、そんな心の痛みを癒しあうことのできるパートナーときっと出会うことになっているはずです。

それでは皆さんが健康で、心穏やかに、いい時を過ごされますように。

心理カウンセラー
近藤あきとし

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