心理カウンセラーの近藤あきとしです。
いつもありがとうございます。
11月9日に【アメブロ】恋愛テクニックに掲載した記事をご紹介いたします。
●大好きだったパートナーにガッカリした後で、本当の◎◎が始まる(4)
前回の記事では、私たちは誰もが「愛されることへの恐れ」を心のどこかに抱えている、というお話をしました↓
今日は、「愛されることへの恐れ」がよく分かる実例をご紹介したいと思います。
以前カウンセリングに来られていた女性クライアントとその夫のお話です。
彼女は1年前に夫と結婚をして、しばらくの間は何事もなく幸せに暮らしていました。
夫には離婚歴があり、元奥さんとの間にお子さんが一人いました。
なので、たまにお子さんに会いに行ったり、その為に元奥さんと連絡をとりあうこともあったんです。
彼女は少しだけ胸にモヤモヤする感じを抱えながらも、夫が元の家族のもとへ行くことも快く受け入れてきました。
しかし、徐々に彼女の中で、
「私よりも元の家族を優先しているんじゃないの?」
「やっぱり前の奥さんのことが好きなんじゃないの?」
という不安が大きくなってきたんですね。
自分が、夫の元奥さんと競争していることも、子供に嫉妬していることも分かってはいたそうですが、でもイライラが止められなくて、夫に感情をぶつけてケンカになることが増えてきてしまいました。
「夫が私を選んでくれているから結婚しているんだし、彼の元の家族も含めて愛してあげたいのに」
と頭では考えるものの、心の中はどんどん夫への疑いが大きくなり、「きっと私はいつか彼に見捨てられる」という不安でいっぱいになってしまいました。
ついには、彼女が、もうこれ以上は一緒にいられないと思い
「元の家族のところへ戻って良いよ!」
「もう別れましょう!」
と言ってしまうくらい追い詰められてしまったのです。(でも夫はその度に引き止めてくれました)
一緒にいることが辛すぎて、彼女がしばらく実家へ帰ってみたり、家にいても夫とほとんど顔を合わせずに生活するなど、彼女なりにどうにか夫にイライラをぶつけずに過ごしてみたものの、「こんな生活がしたいわけじゃない」そう思ってカウンセリングに来られたのでした。
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パートナーシップというものは、相手との心の距離が少しずつ近づいていくことによって成り立つものですよね。
しかし、私たちは良く知らないものや、分からないことに近づくのはとても怖かったり不安を感じます。
これは人との距離感にも同じことが言えて、例え好きな人であっても近づいていくのはすごく怖いし緊張してしまうものなんです。
それに、どうしてもお近づきになりたくない人というのは誰にでもいるもので(苦手な人、嫌いな人)、もし相手にとって自分がそういった歓迎されない人間だったらどうしよう?という不安も感じてしまうのもよくあることです。
すると、相手と順調に近づいているにも拘らず途中で立ち止まって、「私で大丈夫かな?」と様子を伺いたくなるんですね。
この一線を越えて、相手にとって自分が歓迎されている喜ばれる存在なんだと感じられると、一気に親密感を感じられるし、またその関係性をさらに育てていくことができるようになるのですが、ちょうどこの一線の手前で多くの人は不安を感じるようなんです。
これがいわゆる「愛される恐れ(親密感への恐れ)」と言われるものなんです。
クライアントと夫は結婚して1年ほどでしたから、ちょうど今回のシリーズで扱っているロマンスの時代が終わって、次のケンカの時代(パワーストラグル)へ入りかけている時期でした。
夫は妻(クライアント)のことを選んでいるわけですが、彼女が愛される恐れを感じる分だけ、夫(と元の家族)を使ってこれ以上二人の距離が近づかなくて済むようにケンカを仕掛けてしまっていたんですね。
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ここまでは理屈のお話。
彼女が夫にとっての一番愛したい女性だということが分かったとしても、心はすぐに納得するわけではありません。
「本当は私って迷惑な存在なんでしょ?」
「私はいない方が良いに決まってるわ!」
夫にとっての喜びの存在どころか、
「私はお邪魔な存在なのよね」
この感情が彼女にとっての、パートナーシップを築くうえでの大きな問題になっていたのです。
この種の感情が心の奥にある分だけ、もっと愛しあいたい親密になりたいと感じている相手に対しての、不安や疑いや緊張がなかなか消えてくれないんですね。
では、この感情がどこから来ているのかというと、その多くは親子関係に遡ることでルーツが分かってきます。
子供時代の私たちは、両親の役に立ててない、お邪魔な存在だと感じてしまうことが多いようなのです。子供だから何もできなくて当たり前なのですけどね。
小さい頃に「私は橋の下で拾われた子供なんだ」とか「本当は他所の家の子なんだ」なんて考えたこと、皆さんにもあったのではないですか?
そんな考えに囚われている時、ここにいたくないと感じて家出をしてみようとしたり、家のどこかへ隠れて見つかりたくない気持ちになることは良くあることです。
これは親から見捨てらることが怖すぎるので、「捨てられる前に、自分から出ていってやる!」という気持ちになるがゆえの行動なんですね。
それもこれも、「きっと私は迷惑な存在なんだ!邪魔な存在なんだ!」という恐れがベースにあるからなのです。
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カウンセリングを進めていくと、彼女の両親はすごく仲良しだったことが分かってきました。でも子供の前では仲良しの姿を見せてこなかったそうなんですね。二人とも恥ずかしがりだったのかもしれませんね。
ある時、彼女が夜寝ていると、お母さんがお父さんの布団に入っていくのを見たそうなんですね。大人だったら何をしていたかは当然分かるんですが、子供の彼女にとってはそれはすごく腹が立つことだったんです。
なぜなら自分だけ除け者になってしまったと思ったからです。
「お父さんとお母さんが仲良くしているのに、私は仲間外れなの?私は邪魔なの?」
そんな感情が、彼女の中で「私は迷惑な存在なの?」という恐れをつくっていったのでした。
もちろん誤解なので、カウンセリングでは、両親へ言えなかった感情を解放することと、本当は両親にとって彼女が喜びの存在だったということを感じていってもらいました。
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次に、とにかく自分の感情に素直になれるよう意識していく取り組みも始めました。
彼女は頭で気持ちをコントロールし過ぎて苦しかったんですね。
「彼の前の家族も愛してあげたい」
「こうあるのが理想の妻」
それができれば理想的ではあるものの、現実はなかなかそうはいかないことも多いので、できない自分を責めて、自己否定につながっていたことも苦しみになっていたのです。
嫌なモノは嫌
好きなモノは好き
自分の気持ちを受け入れられるとちょっと楽になれます。
心とつながることができた分だけ、自分は自分で良いと感じられるようになります。
すると、夫の感情と行動は、自分の感情と行動は別物だということも実感できるようになれるんです。
感情の境界線というのですが、ここまでは自分の感情、ここから先は夫の感情というように線引きができるので、相手の態度やふるまいに振り回されなくなるのです。
自分と相手の区切りが意識できた分だけ、自分の立ち位置が分かるので、今度は自分からどのくらい相手に近づきたいのかが分かってきます。
また相手をどのくらい受け入れたいのかも分かってきます。
それは、とても安全な関係を感じられているということ。二人の間の不安と疑いは消えて、安心と信頼の世界へ進み始めたということです。
※参考記事です。ロマンスの時代の後のパワーストラグルについて書いています↓
「誰かを責めるのを止めた時、2人の関係が前に進み始める(1~4)」
※その先のデッドゾーンを越えるために必要なこと↓