過去3回は婚活についての記事を書いてきました↓



今日は、その先の結婚をテーマにしてみようと思います。
パートナーシップのカウンセリングをしていると、クライアントさんが結婚に対する様々な思い込みを抱えていることに気づかされます。
たとえば、
「結婚したら自由が無くなる」
「結婚は責任を負うこと」
「結婚したら家族を養う義務がある」
「結婚してもどうせ離婚するのだからしない方がいい」
「紙切れ一枚の契約なだけだから、結婚してもしなくてもいい」
・・・などなど。ほんの一部ですが、こうして文字にしてみると人によって結婚への見方、イメージにもさまざまなものがあることが分かります。
そして、この思い込み「結婚って◎◎なものだ」と、その人が信じている通りの人生になっていることも分かるのです。
「結婚したら自由が無くなる」と思っている人は、できるだけ結婚を先延ばしにするでしょう。もし結婚するとなったら「あ~、ついに結婚するハメになってしまった」と思うことでしょう。まるで人生の牢獄に入るような気分になるかもしれません。
仮に結婚して幸せなことが起きても、不自由になったことばかり目が向いてしまうかもしれませんね。
「結婚すると責任を負う」と思っている人は、責任に耐えられる自分になろうと努力するかもしれませんし、自分には無理だから代わりに責任感のあるパートナーを選ぼうとするかもしれません。責任を負いたくなくて結婚から逃げ回る人生になる人もいるでしょう。
これが逆に、「結婚したら大好きなパートナーとずっと一緒にいられる!」と思っている人であれば「早く結婚したい!」と決めて、目指す幸せに向かってできることに次々に取り組んでいるはずです。
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昔観た映画の話です。主人公はパートナーから結婚の話が出ると別れて逃げてしまう癖のある独身男性でした。
彼は「結婚したら自由を失ってしまう!」と思い込んでいて、結婚をとても怖がっていたのです。
そんな彼にも彼女がいるのですが・・・結婚を期待されているのを感じると、彼は怖くて不安でとてもプロポーズどころではありませんでした。
「つきあって3年。これ以上待たせることはできないよなあ」
「ここまで来たら結婚するか・・・それか別れるか・・・」
「だけど、彼女とは別れたくないしな・・・」
観念した彼は仕方なくプロポーズしたものの、彼女には彼が嫌々結婚を申し込んでいるのがバレバレだったんです。
「本当は結婚したくないくせに、嫌々プロポーズするなんて!」
と、彼女は怒り心頭で帰ってしまいました。
結婚は恐いけど、彼女のことは大好きな彼。その後も彼女に思いを伝えようとするものの、腰の引けた態度がよけいに彼女の怒りを煽ってしまい、またもや酷い失敗に終わります。
ストーリーが進むうちに、彼は彼女を本当に愛していることが分かってくるのですが、どうしても結婚は恐いのです。「幸せな結婚」を受けとれないことが最大の問題でした。
すると終盤になって彼の生い立ちの話になります。じつは彼は子供時代に両親を亡くしていました。過去に大切な人たちを失った悲しみがあまりにも大きかったせいで、結婚や自分の家族を持つことが怖くて仕方がなかったのです。
最愛の人を失った喪失感が、心の中で大きな痛みになったままだと
「君にずっとそばにいてほしい」
という素直な気持ちを自分の中に認めることが難しくなってしまうんです。
また子供の心にとっては、まるで天変地異が起きて両親がどこかへ連れ去られてしまったようなショックと悲しみが、扱いきれない痛みとして心に残ったはずです。なので、
「僕の大切な人は、きっとどこかへいなくなってしまうんだ・・・」
そんなつらい思い込みを、彼は大人になってからも抱えてきたのでした。
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実際のカウンセリングの現場では、この映画の主人公のような彼とおつきあいをしていて、結婚目前でつまづいてしまうお悩みを相談にくる女性クライアントも少なくありません。
そしてほとんどのケースで、女性側にも無意識的に結婚を遠ざける生き方をしてしまう思い込みを抱えていたりするのです。
映画に出てくる彼女も例外ではありませんでした。彼女は「結婚したい」と願っているのに、なぜか「結婚したくない」彼を選んでいるのには理由があったのです。
彼女の両親は子供たちがウンザリするほど、ラブラブな関係だったんです。「お母さんにはお父さんがいればそれでいいの」そんなことを子供たちの前で平然と言えてしまうくらい、ベッタリな両親だったんですね。
「どうして両親の仲がいいのが結婚を遠ざけることになるの?」と思われた方もいるでしょう。
普通に考えれば、両親が愛しあっているのを見ていたら、子供の幸せにも良い影響がありそうですよね。
もちろんその通りなのですが、両親のあまりにも幸せそうなパートナーシップの姿を見て育った子供の中には、
「私にもあんな素敵でロマンチックな結婚ができるんだろうか?」
と、両親を完璧なパートナーシップの見本にしてしまい、同じくらいのロマンスを手に入れられるような完璧なパートナーを求めては、パートナーへの要求が強くなりすぎて幻滅したり。
「私にはあんな幸せなパートナーシップなんて手に入らないわ・・・無理に決まってる・・・」
と、心の内では最初から諦めてしまっている。なんてこともあるんです。
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この映画から分かってくるのは、「なぜか結婚が怖い」「気がついたら結婚を避けている」としてもパートナーが問題ではないということ。
自分自身の「結婚」へのイメージが良いものであれば誰もがそこにたどり着こうと自然に前に進んでいくでしょうし、イメージが悪ければできるだけ避けるような生き方をしてしまうのです。
結婚に関するカウンセリングをしていると、結婚前のお悩みやトラブルの話をたくさん伺いますが、結婚前にいろいろと問題が出てきたり、マリッジブルーになるのは、
1.結婚に関してのネガティブなイメージ
2.幸せを受けとる恐れ
3.変化への恐れ
おおよそ、この3つが代表的な理由にあげられます。
ただし、どれも潜在意識の中の感情が影響しているので、意識の部分でどれだけ思考を巡らせて理由や原因を考えてもなかなか気づけるものではありません。
頭では「大好きなパートナーと一緒にいたい」「幸せな結婚をしたい」と願っているのに、現実は願いとは程遠い状況ばかりになってしまうと、パートナーシップ自体がしんどいものに感じられることも少なくありません。
うまくことが運ばないことを、ついつい相手のせいにしてしまう人もいますし、逆に自分のせいだと思い込み過ぎて自己嫌悪ばかり強くなってしまい、幸せに近づけない人もいます。
どうにも解決の糸口が見つけられなくてカウンセリングを受けてみたら、親子関係や過去の恋愛の痛みから生じた思い込みが、手に入れたいはずの幸せを避けてしまう生き方を選んでいた・・・なんてことに気づくケースが本当に多いんです。
同じ「結婚」というものを見ていても、人によって、何を見ているのか、感じているのかは違います。
もしこの記事が、自分と重なると感じた読者さんは、パートナーとの間で結婚に関するイメージのズレ、すれ違いが問題を起こしていないか見直してみてください。
結婚前にケンカが起こる第一の理由は、お互いが抱えている結婚観を十分話し合えず、理解しあえていないからのようです。
※もちろん話し合うためには、自分自身の結婚観(何を大切にしたいのか?)を十分理解しておくのが先ですが
もし、心の中を見つめ直した時に「結婚へのネガティブなイメージ」や「幸せへの恐れ」にきづいたら、
「この私の思い込みを書き換えてくれる存在として現れてくれたのがこの人なのかもしれない」
そんな眼差しで目の前のパートナーを見てみることから始めてみましょう。
今まで気づかなかった、あの人の一面に気づけるはずですよ。
次回にこのテーマの続きをお届けしますね。
それでは皆さんが健康で、心穏やかに、いい時を過ごされますように。
心理カウンセラー
近藤あきとし
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