カウンセリングに来られるクライアントさんは、「いま現在の悩み」や「慢性的な人生の問題」を抱えてやってきますが、込み入った問題を丁寧に紐解いていくと必ずと言っていいほど過去の人生経験に行き当たります。
(すべてがそうとは言い切れませんが、経験上ほとんどの方が当てはまると感じます)
カウンセリングでは現在から過去に遡りながら、昔体験したこと、その時に決めたことに気づくことから始まります。
そうすることで今自分がどんな地点にいるのか?自分の心の現在地を知ることができるからです。
そこから人生を棚卸しながら、両親を始めとする家族との関係、過去のパートナーシップ、人生の挫折や失敗、悲しみや絶望といった心の痛みに向き合いながら、自分自身を癒すプロセスを通ります。
心の奥深くにしまい込んだ未完了の感情を解放し、自分本来の願いと出会い直すことで、心を整える「地ならし」をしながら、本当の幸せを生きるための「心の土台」を作っていくわけです。
*
私たちの人生がある時点まではうまくいっていたのに、急に行き詰まってしまうとき、あるいはゆっくりと停滞していくとき、そこには必ず理由があるんです。
今までの過去の成功法則ではうまくいかない別レベルの幸せに進むことが求められているとき、次の幸せにとって必要な心の地ならしが不十分で、新しい幸せを受けとる心の土台ができていないからなんです。
だとすると、悩みや問題は「ここから先に進む前にちゃんと準備しておいた方がイイよ」という、人生からのメッセージなのかもしれないんですね。
たとえば家を建てることを想像してもらうと分かりやすいと思うのですが、土台となる土地がしっかりしていないと、どれだけ素晴らしいデザインの豪邸でも、建築技術の粋を注ぎ込んだ堅牢な家でも、いずれ家が傾いてきたり、どこかに痛みが出てきてしまうはずですよね。
人生も同じように心の土台がしっかりしていないと、憧れの仕事に就けても、高収入を得られても、最愛のパートナーと出会えるチャンスがきても、すべてを受けとりきれずに多くを取りこぼしてしまうことになります。
よく「どうしてカウンセリングで過去の話を聞くんですか?私は今の彼(夫)との問題をなんとかしてくて来ているのに…」と言われることがありますが、その答えは自分と向き合い感情を癒すことで、次の幸せを受けとるために必要な「心の土台」づくりをしているからなんです。
土台が出来上がって、ようやく次ぎの幸せに進む準備ができるわけですね。
*
すると誰もが、自分にとっての「本当の幸せ」「新しい夢」を見つけたくなり、今いる場所から、本当に望んでいる「自分本来の願い」を生きる場所へ向かって歩き出したくなります。
たとえば失恋や離婚を経験し、心に大きな痛みを抱えている人であれば「今の苦しみ、悲しみから抜け出したい」と思われてカウンセリングに来られます。
そして心を癒すプロセスを経ることで「もう一度パートナーシップにチャレンジしたい!」「今度は本当の幸せを手に入れたい!」と自然に思い始めるんです(もちろん全員ではなく、パートナーシップ以外の幸せを見出す人もいます)。
あるいは仕事のジャンルでは、挫折や失敗感を抱えてこられる方も多くいますが、痛みと向き合い癒した後は「もう一度チャレンジしたい!」「今度は自分らしく成功したい!」と思うようになります。
何が言いたいかというと、私たちは問題にばかり意識が捉われてしまいがちですが、「問題を解決すること」と「幸せになること」は別のプロセスだということです。
つまり、あなたが今いる場所では手に入らない「次の幸せ」に進むためには、幸せの方向へ進む途上に「問題解決(自分を癒す)」プロセスがあるということです。
誰もが引っかかる心の罠として、問題に取り組んでいると、つい目的を忘れて解決することに一生懸命になってしまうことがあります。すると結果的に問題が解決したのに、気づいたら望んでない全然別の場所にいたなんてことはよくあります。
たとえば、受け身で頼りない彼氏を一生懸命に褒めて育てていたら、彼に自信がついたと同時に「本当に支えたい好きな人ができた」と言われてフラれてしまった…などですね。
*
多くの人のカウンセリングをしてきて分かってきたのは、「幸せに近づく瞬間」と「幸せを遠ざける瞬間」があるということです。
興味深いのはほとんどの人が、失敗するとき(幸せを遠ざける瞬間)には、過去と同じような失敗をしていること。それは一見、単なる繰り返しで無意味な行為にも見えてしまうのですが、けっしてそうではないんです。
同じような失敗をしながらも、幸せを諦めずに歩き続けている間に多くのことを学び、自分なりの人生の道を見つけているように思えるのです。
そして歩き続けている人に、どこかのタイミングで「人生からのプレゼント」と言えるような瞬間が訪れることが分かってきました。
それは「過去に体験してきたこと、すべてが今につながっている」と気づく瞬間です。これが「幸せに近づく瞬間」です。
人生に縦軸と横軸があるとするなら、縦軸は過去の人間関係、家族や兄弟、もっと前の先祖の世代。横軸はいま現在のパートナーや家族、友人、職場の人たちなどです。
一見なんのつながりもないように見える偶然の出会いや人間関係に、じつは人生の意味を発見するような場面を、クライアントを通して何度も体験してきました。
たとえば、
・今の結婚生活やパートナーとの関係が、両親や祖父母の夫婦関係とそっくりだった
・これからチャレンジしたい夢や目標のビジョンが、祖父がかつて描いていた夢見ていたことと同じだった
・子供の頃に亡くなった父親とよく似た上司と出会い、育ててもらったおかげでビジネスで成功できた
・知り合いがドタキャンした穴埋めで参加した飲み会で、生涯のパートナーに出会った
などなど、こうした偶然(必然かもしれませんが)の出会いが人生を変えたという人に数えきれないくらい会ってきました。
過去の人生を丁寧に紐解いていくことで、自分がどこからきて、どんな幸せに向かおうとしているのか?どう生きようとしているのか?そこがハッキリと分かればわかるほど、いま関わってくれている人たちや目の前の状況が、過去~現在~未来へつながる道筋の途上だということに気づき始めるんです。
その瞬間が、これまでの幸運な出来事や出会い、今までに直面してきた問題や試練が、すべて自分が目指す場所にたどり着くために必要な出来事だったと分かるんです。
私自身も、まさか銀行員から心理カウンセラーになるとは思ってもいませんでしたが、20年前にカウンセリングを受けてから両親との関係や過去の恋愛などの人間関係を振り返っていくほどに、今いる場所に誘われるように運ばれてきたような感覚になります。
※私がカウンセラーになるまでのストーリーです↓

パズルのピースがパチッとハマったような瞬間。読者の皆さんも体験したことがあるかもしれませんね。
*
もし、あなたがパートナーと二人で人生の縦軸と横軸の交わりに気づけたら、二人が出会ったことの意味を深く理解して、お互いに痛みを癒しあい、人生の目指す場所にともに歩き出せるでしょう。
今日は人生がうまくいっている人も、そうでないと感じている人も、あなたの過去~現在~未来のつながりについて、つまり今の自分と両親や兄弟、過去の人間関係との関連性について振り返ってみる時間をとってみてください。
そして、あなたの人生の縦軸と横軸の交差点を感じてみてくださいね。
こんな問いかけを自分にしてみましょう。
Q1.過去、現在、未来のつながりについて、今の自分と生まれの家族、パートナー(または過去のパートナー)との関連性について、あなたは何を感じますか?直感的に感じたことをそのまま書き出してみましょう。
Q2.そのつながりから気づきいたことを書き出してみてください。
今の自分がどこからやってきたのか?どこへ向かっているのか?いま目の前にいるパートナーや家族、関わりのある人たちと出会えた幸運。
それを感じとる感性が、あなたを「本当の幸せ」や「本来の願い」を生きるための「受けとる力」になっていくはずです。
交差点を感じられたあなたには、もしかしたら近いうちに思いもかけない幸運が運ばれてくるかもしれませんよ。
それでは皆さんが健康で、心穏やかに、いい時を過ごされますように。
心理カウンセラー
近藤あきとし
※参考記事です↓こちらもどうぞ
