前回の記事をはじめとして、何度か罪悪感についてのお話をとりあげてきました。
自分が悪いことをしたと思って、自分自身を酷く責めてしまい、罪を償わなくてはという気持ちから、
「他人に対して過剰に尽くしてしまいがち」「辛いとわかっている行為であっても、その苦行をやめられないことも多い」という内容でした。
実は、この罪悪感を持ち続けることで、私たちは周りの人に対して復讐をしようと、無意識のうちに行動している場合もあるのです。
復讐というのは相手に直接攻撃をして危害を加えることだけじゃあないんですね。
自分自身を幸せにしないことで、復讐したい相手に「お前のせいで、私はこんなに不幸なんだ」と責めることで、その責任を押し付けようとするやり方もあるのです。
しかし、考えるまでもなくこの復讐を続けるには、自分が不幸で苦しい状態でい続けることが必要です。
相手を責めようとすればするほど、自分自身がしんどくなってしまいます。
その苦しさで心を押しつぶし、でも復讐はやめられずに、自分を追いつめて逃げ場を失ってしまうこともあるでしょう。
そうして常に心を痛めつけることが当たり前になると、いつの間にか復習の気持ちは無意識の中に沈み込んで、心に残るのは自分が幸せになることを許せないという気持ち、だったりするのです。
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みなさんがもし今、苦しみたくないのになぜか自分を痛めつけることが止められないと感じているなら、
「実はずっと誰かに復讐をしようと、無意識に計画を立てて不幸を選んできた」
のかもしれない、と考えてみると新たな視点が得られるかもしれませんよ。
その誰かを知るには、
「私の不幸な姿を見て、一番悲しむのは誰だろう？」と自分に問いかけてみてください。
その時に出てくる答えが、その誰かだと思います。
苦しみに囚われた復讐から解放され、恨みと批判的な気持ちを手放し、痛んだ心を癒して、みなさんがもう一度幸せを選んでいく為には、どうしても必要なモノがあります。
それが「許し」なんですね。
愛してくれなかった両親に対して、信頼を裏切った友人に対して、浮気をした夫に対して…
「自分を傷つけた相手を、どうして許せるものか！」
そう思うかもしれません。
しかし、許しというのは相手の為にするものではないんですね。
相手の失敗を許し（赦し）、みなさんが恨みやつらみ、怒りや憎しみなどの感情に囚われずに、自分や周りに思いやりを持って接し、愛情を感じながら生きていくことを、自分自身に許可してあげることなのです。
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意外に感じるかもしれませんが、罪悪感を感じている人は、本来とても優しく愛情深い人なんです。
心の奥では誰も責めたくないし、誰も悪者にしたくない気持ちを持っているのです。
だから、自分が一番の悪者だと証明する為に、復讐を利用して最終的には自分を攻撃し裁いてしまうのかもしれません。
（そう考えると復讐という仕組みは実に巧妙にできているものですよね）
だから、もし自分を許してしまったら、自分が悪くないことになり、そうなったら、相手を真の悪者にしてしまうような気がするものなんです。
許すことがとても難しく感じてしまう理由の一つは、ここにあるのではないかと私は思っています。
でも、それは間違った思い込みなんですね。
本当は自分は悪くないんだって、心から思うことができたら、その時には、もう誰も責める必要がなくなってしまうんです。
それが加害者でも、被害者でも無い、「無害者」とよばれる立場なんですね。
無害者とはあなたも私も罪がない、どちらも悪者ではない状態です。
相手との間に何も障害が無く、そこでは心から安心できる関係が築かれる状態なのです。
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相手を責めることができて、奪う立場にいられる、被害者の位置は一見楽に思えてしまうものです。
その方が自分の思い通りに行く気がしてしまいますからね。ついつい被害者側に立つ方を選んでしまうモノなんですね。
それだけに被害者の位置から抜け出すことは、一人ではなかなか難しいものなんです。
自分自身を許せるように心を育てていくには、否定せずに受容してくれる誰かがいる安全な場所で、自分の感情を自分で認められて、また人に受け入れてもらう経験をしていくことが大切なのです。
その為にカウンセリングやセラピーを利用することは、みなさんがより楽に被害者の位置を手放すのに役に立つと思います。
また、無害者の位置に立てると、人間関係が良い方に変化してくることも多いんですね。
みなさんが自分の感情を否定しなくなった分だけ、周りにはみなさんの感情、考え方、人格を否定しない人が集まってくるんです。
そして、みなさんが自分自身を貶めたり傷つけようとした時には、それを止めるように注意してくれたり、諌めてくれる人が現れるのです。
大切なのは自分を許そうと決めること。自分が愛を感じながら生きていってもいいと許可することなのです。
今日は一人で取り組むには難しい内容でしたので、ぜひカウンセリングなどを利用してできるだけ誰かに頼りながら、感情と向き合うチャレンジをしてみてくださいね。
