第11回『助けたくなってしまう人の心理』 ◆◆もしもあなたに世界が救えるなら◆◆

第8~10回で書いた「苦行マニアのあなたへ」シリーズの中で、苦行してしまうのは過去の罪悪感がその原因となっていることをお話しました。

子供時代に親を助けたかったけれど、それが失敗したことで傷つき、罪の意識を感じてしまい、自分を罰するように苦行を繰り返してしまうのだと。

ではなぜ、子供は親を助けられるだけの力が無いにもかかわらず、無謀とも言える、大人を助けようとするチャレンジを試みようとするのでしょう?

もちろん子供であれば、親を助け笑顔にしたいと思うのは当然かもしれません。

今回は心理学的に罪悪感という感情から、なぜその行動をとってしまうのかを説明していこうと思います。

また、「助けられなかった罪悪感」を抱えたまま大人に成長すると、身近な人との間で色々な問題が出てくることが多く見受けられるのです。

●なぜか、かわいそうな人を見つけてしまい助けてあげたくなる。

●いつも自分の周りには依存的な人が集まってくる。

●出会うのはダメンズばかりで、不幸な恋愛を繰り返してしまう… 

など、いつも誰かを助けていて自分は幸せになれない、という問題パターンに繰り返し悩まされることがあるのです。その理由についてもお話していきます。

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罪悪感とは、「自分が全て悪いんだ」「私のせいだ…ごめんなさい」と感じた時、「こんなに悪いことをした私が許されるはずがない、だから罪を償う為に罰を受けなくてはいけない」と思ってしまう感情のことです。

「悪いことをした人が幸せになっていいのか?」

「いや、そんなはずはない。だから、私は罪を償うべきだ…」

そう(無意識で)感じてしまうものなんですね。

罪悪感を感じると「自分は罰せられるべき」という考えに囚われてしまうのです。

その罪悪感がやっかいなモノで必要のない感情かというと、そうとばかりも言えないのです。

例えば、階段で足を踏み外して転んだら「自分が痛い」だけですよね。

でも、仮に誰かを押してしまってその人を転ばせてしまいケガをさせてしまったとしたら、もし罪悪感をまったく感じなかったら「特に何も感じない」ということになってしまいます。

それでは他人と良好な人間関係を作ることはできなくなってしまうでしょう。

罪悪感とは「他人の痛み」を感じ、思いやる気持ちを育てる上では、とても重要な感情と言えるのです。

ただ、それが他人との感情の境界線が曖昧な状態だと、自分と他人の感情の線引きができずに、他人の痛みも自分の痛みも一緒だと感じてしまいがちなのです。

それが感情的に未熟な子供であれば、なおさらなんですね。

もし親が不幸そうな表情をしていたり、苦行をしていて、いつも苦しそうにしていたら、子供はその痛みを自分のモノとして感じてしまい、自分にその責任があると感じて、罪悪感として抱えてしまうのです。自分が解決すべき問題ではないにもかかわらずです。

それは子供が感情的に未熟であるから、ということは間違いないのですが、そこには子供が両親を想う気持ちがあるからこそ、起こることとも言えます。

子供が親と同じ問題を抱えてしまうコトは、みなさんもよく聞く話だと思います。

親に虐待された子が大人になり、自分の子供に同じように虐待してしまったり、家庭を顧みない会社人間の父親を見て育った子が、親以上に仕事にのめり込みハードワークで倒れてしまったりなど、特に同じ依存症を抱えるようになるコトはよく見かけるケースかもしれないですね。

どうして、そんなことが起こるのかというと、子供は親の問題を自分が引き受けることで、親を助けようとするんですね。

子供は、親の様々な部分を引き継いで成長していきますが、その愛が深い分だけ、親の抱えている問題も自分が引き継ぎ、受け入れることで助けようとしたり、自分が同じ問題を取り込んで親の苦しみを理解したい、という心理があるのです。

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その子供が大人になった時、身近な人間関係に苦しんでいる人や、寂しそうな人、かわいそうな人がいると、自分のせいではないにもかかわらず、罪悪感を感じてしまうのです。

そして、「自分が罪悪感を感じないように」する為に、その人たちを助けてあげたくなるのです。その人たちが笑顔になれば、自分の罪悪感を感じなくて済むからです。両親に対して願っていたことと同じなんですね。

助けるという行為自体は良いことですが、動機はあくまで自分の為になっているところがポイントなんですね。

なぜなら、相手の成長を信じて、直接手を出さずに見守る愛情もあるはずなのに、その機会を奪っていることには気づけないからです。

そうして助け続けるうちに、心が削られていくように消耗して、すっかり疲れきってしまうでしょう。

相手は際限なく依存してくるのに、どれだけ頑張っても応えきれず相手の態度が一向に改善されないことへの怒りが徐々に溜まっていき、さらに心は悲鳴を上げることになってしまいます。

自分の罪悪感が原因であることに気づけないと、誰かを助けてばかりの人生になり一方的に与えているだけで何も受け取れずに、ただ自分を擦り減らすばかりという苦しみを味わい続けることになりかねないのです。

このような罪悪感が、繰り返し湧いて出てきてしまうパターンを癒すには、子供時代の自分をイメージして、何度も許しの言葉をかけて、受け入れていく心理セラピーが有効です。

いわゆる「インナーチャイルド」と呼ばれる手法の心理セラピーを使って抑圧された感情を解放していき、幼少期の罪悪感と痛みを癒すことで、問題のパターンを手放していけるのです。

どうしても、助けてしまいたくなる人がいつも身近にいて放っておけないことで苦しんでいるのであれば、子供時代の罪悪感にそのルーツを求めてみると、今の問題から抜け出すヒントが、そこにあるかもしれません。

子供時代に両親を助けられなかったのは、あなたのせいではないのですから。

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