心理カウンセラーの近藤あきとしです
いつもありがとうございます。
前回は、お金の不安に追い立てられる男性の心理がパートナーシップにどう影響するかをお届けしましたね。
今日は前回とつながる内容ですので↓興味がある方はぜひ最後まで読んでみてください。

まずは、皆さんがお友達とランチをしている時にこんな会話になったと想像してみてください。
「友達のKちゃんが離婚するって言ってたんだけど、原因はお金の問題らしいの」
「え~、でもKちゃんの実家はお金持ちだったでしょ?」
「そう。だからKちゃんの持ち物って、良い物ばかりだったでしょ。ただ結婚した旦那さんは普通のサラリーマンなのに、Kちゃんは結婚前と同じ感覚で買い物をしてたんだって」
「それで旦那さんとうまくいかなくなったってこと?」
「らしいよ。やっぱり金銭感覚が合わない人と結婚するのは、愛があっても難しいのかな~・・・」
カウンセリングの現場では、パートナーとのお金の価値観の違いが原因でケンカになってしまう、というお悩みを伺うことがあります。
前回でもお話ししましたが、私たちが直面する人生の問題の多くは「感情の問題」です。
お金がパートナーとのケンカを引き起こしてしまうのは、私たちがお金に対して様々な感情の葛藤を投影しているからなのです。
先ほどの友達との会話の例では、夫は無価値感に堪えられなくなってしまい、妻は実家との癒着が問題の種になっています。
男女問わず、自分よりも経済力があるパートナーと出会うと、多くの人が「ラッキー」と思うかもしれませんが、同時に日々の生活で劣等感を刺激されてしまう側面も出てきます。
たとえば外食では、あなたはデートの時のランチなら3,000円~4,000円くらいが妥当かなと思っているのに、パートナーは「どうせなら落ち着いた雰囲気のお店で、素材もちゃんとしていて美味しいランチがいいな」と言い出して、コースが10,000円からのお店ばかり選んでくる。
こうしたお金の価値観の違いは、食事だけにとどまらず、日用品、服、家、車、旅行先(ホテルのグレード)など、お金を使うあらゆる場面で出てきます。すると不安や劣等感が刺激されてしまうのです。
つきあい始めたばかりの頃であれば、多少無理してでもパートナーに合わせることもできます。しかし徐々に苦しくなってきて、「もうつきあいきれない!」そう感じて、関係が悪くなってしまうカップルもいます。
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感情の視点から捉えると「ちょっと僕には、それだけを払えるお金の余裕はないんだ」と、パートナーに伝えることができると、ケンカや険悪な関係になることは避けられるかもしれません。
しかし、お金の有る無しを「自分の価値」「人としての価値」として感じている場合、ひどく惨めな気持ちになってしまい、コミュニケーションなんてできなくなってしまう人も少なからずいます。
ここで重要なのが、表面的には「パートナーにはお金のことを素直に打ち明けられない」ことが問題ですが、心のより深いところを見ると本質的な問題は「自分の惨めさをパートナーには見せられない」という感情的な葛藤を抱えていることです。
すると、たとえば・・・
・仕事で問題を抱えていて、思い通りにならず悩んでいる
・同期の同僚の方が早く出世していって、自分はいつまでも平のまま
・仕事以外でも何らかの厳しい状況にいて、すっかり自信を失っている
などなど、劣等感や惨めさを感じてしまう話題はすべて話せないか、避けるようになったりします。
さらに、そんな惨めさを悟られないように、パートナーには「全然大丈夫だよ」「気になんてしてないよ」という態度を装いながらハードワークをするなんてことになるんです。
あるいは、「その手の話題は出すなよ」という雰囲気を醸し出したり、自分がどれだけ頑張っているかを主張したり、つい自己正当化をしてしまう場合もよくあります。惨めさを感じたくないからです。
ただ、これが続くと自分も疲れるし、パートナーも一緒にいるのが苦しくなってしまいます。
仮に疲弊しながらも、パートナーを説得してコントロールできたり、ハードワークの成果として収入が上がったとしても、隠している惨めさを癒してパートナーに欠点も弱さも分かち合える「本当の絆」を二人で育むことができなければ、いずれ同じような問題が出てきてしまうでしょう。
なぜなら比較や競争心には終わりがないからです。
この心の罠にハマってしまうと、自分の「惨めさ」を感じたくないがために、「大切なパートナーとの絆や、心から愛し愛される関係」を遠ざけてしまうのです。
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逆に、お金にまつわる感情を素直にパートナーに打ち明けて、二人で問題に向き合い、感情を癒すことができると、お金が原因でお互いを責め合うのではなく、今までになかった強い絆を作るきっかけにできるはずです。
そこから、二人にとって「人生で本当に大切にしたいもの」についてのコミュニケーションへ進んでいくのは自然な流れだと言えます。
仮に、今はお金に余裕がなかったとしても、二人で叶えたい豊かさを共有することで、どうやって目指すかのアイデアを出し合えるかもしれません。
たとえ、そのアイデアが上手くいかず思い通りの豊かさを得られなかったとしても、そのプロセスを二人で歩いてきた体験が、より確かなつながりを感じさせてくれるでしょう。それはお金だけではない人生の豊かさを得るためのプロセスだったと思えるはず。
パートナーシップにおける「お金が原因のトラブル」は、本質的にはお金が問題ではありません。
私たちの中にある「まだパートナーに心を開くのが怖い部分」を教えてくれるものです。
その部分を、パートナーに全部を見てもらい、誠実にコミュニケーションすることで、パートナーとより深く強くつながるチャンスに変えることが出来るのです。
皆さんの周りにいる、つい羨ましくなるようなカップルは、人生の「喜び」も「大変な部分」もお互いに分かち合っている二人ではないでしょうか?
もし、今日のテーマが自分に関係があると感じたら、そして人生の豊かさを分かち合えるパートナーシップを手に入れたいと思ったら、「お金」というフィルターを通して自分自身とパートナーとの関係を見直してみましょう。
そこに隠れている心の痛みを見つめ直し、癒すことで、二人の絆を育てるきっかけにしてみてくださいね。
それでは皆さんが健康で、心穏やかに、いい時を過ごされますように。
心理カウンセラー
近藤あきとし
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