前回の記事の続きをお届けします↓

読者の方から前回のブログについて感想を送っていただいたので、いくつかご紹介しますね。
「私も結婚したら自由がなくなると思っています」
「私の彼が映画の男性のように結婚をイヤがっているんです。やっぱり、男性は縛られるのがイヤなんでしょうか?」
「私の彼も“結婚したくない男”です。私は結婚したほうが楽しいと言うんですが、結婚の話題を出すと逃げてられてしまいます」
「僕は結婚は男の義務だと思っています。男は妻や子供たちを養う責任を負うわけですから。それだけの経済力を持てるまで結婚はできないと思っています」
「彼女は結婚後の生活が心配だっていうんですけど、僕は何とかなると思っているんです。どうすれば安心してもらえますか?」
・・・などなど。
こうした感想を読んでいると、人によって結婚に対する見方やイメージはさまざまであることが分かります。
そして、それぞれに抱える結婚への観念(思い込み)「結婚って◎◎なもの」と、皆さんが信じている通りの人生を送っているのではないでしょうか?
前回もお話ししましたが、結婚前にあれこれ問題が出てきたり、マリッジブルーになってしまう理由の代表的な3つがこちらです。
1.結婚に関してのネガティブなイメージ
2.幸せを受けとる恐れ
3.変化への恐れ
自分自身の「結婚」へのイメージが良いものであれば誰もがそこにたどり着こうと自然に前に進んでいくでしょうし、逆にイメージが悪ければできるだけ避けるような生き方をしてしまうんですね。
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婚活や結婚に関するカウンセリングをしていると、多くの場合二人の結婚観のズレがクローズアップされてきます。
具体的な悩みとしては、結婚するのかどうか?から始まり、どこへ住むのか?結婚式の時期は?式には誰を呼ぶのか?仕事はどうするか?・・・など、色々なズレが浮き彫りになってきますが、その根底にあるのは二人の結婚や人生の変化への不安と恐れなんですね。
以前、結婚に関するカウンセリングをした女性クライアントは、こう話し始めました。
「つきあって5年くらいの彼から『結婚しよう』と言われたんです。でも、結婚するのが嫌なんです。彼は優しいし素敵な人なんですけど・・・結婚はイヤなんです」
私が「どうして嫌なんですか?」と聞き返すと、
「離婚したくないんです」
彼女は結婚の返事もせず、彼の両親と会う日取りも先延ばしにして、今日までずっと結婚を避けてきたとのこと。
私は「結婚する前から離婚のことを考えてしまうのだとしたら、結婚なんかしたくなくなってしまいますよね」と言うと、彼女はハッとした表情になり自分のしていることを自覚したのか、気まずそうにしていました。
絶対に離婚しない方法は結婚しないことですから、彼女のとった方法は失敗しないための最善の方法と言えます。しかし失敗しない人生が幸せな人生かというと、そうとは限りませんよね。
彼女の心のどこかではそのことに気づいていて、だからこそカウンセリングを受けようと思ったのです。
彼女は当初、これは結婚するかどうかの問題だと考えていましたが、カウンセリングが進むにつれて真のテーマが見えてきました。
「結婚しても夫婦生活をずっと続けることなんて私にできるんだろうか?」
「彼は私を一生愛し続けてくれるのかな?」
そんな心の奥の不安や疑いと向き合わずに、逃げ続けていることが本当の問題だと気づき始めたのです。
彼女は不安から逃げるために、彼の結婚の話を避けつづけてきたのですが、カウンセリングをきっかけに彼に彼女の不安と疑いを打ち明けることに決めました。
何度も話をしてお互いの気持ちを受け止め合ううちに、彼女が自分ひとりの問題にしていたものが、彼との二人の問題として分かち合うことができるように変化していきました。
この分かち合いが彼女にとって、二人で何かを作り上げていくパートナーシップの土台となっていったのです(後に二人は無事に結婚しました)。
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「どうして結婚しないといけないんでしょうか?」
過去にはそんな話を切り出す男性クライアントもいました。
彼は、いかに自分の価値観が正しいかを証明するかのように途切れなくしゃべり続けました。
私はその男性に「結婚しなければならない決まりはないですよ。結婚した人たちは、結婚しないと行けなかったからでも、結婚する必要があったからでもなく、ただ結婚したかったからしたと思いますよ」
そう話すと、彼はしばらく時が止まったように固まってしまいました。そして、フーッとため息をつくと、すっかり力が抜けたような表情になっていきました。
彼は「『結婚したいなんて』どうかしてるよ!」という思いにずっと憑りつかれていたようです。しかし、面白いのはそういう彼がわざわざカウンセリングへ来て、結婚についての悩みを打ち明けていることです。
もし彼が本当に「結婚なんて必要ない!」と思っていたら、その価値観で生きていけばいいので誰に相談することもなかったはずですよね。
カウンセリングが進むうちに、やはり彼にとって結婚が問題ではなく、結婚に対する観念(思い込み)が問題を作っていることが分かってきました。
彼の思考と感情のプロセスを順番に書くとこうです↓
1,どうして「結婚」を「しなければならないもの」やルールのように感じているんだろう?
2,そういえば結婚だけではなく、誰かに縛られるようなことはすべて嫌だった
3,だから紙切れ一枚で法律に縛られる結婚という制度が嫌なのかもしれない
4,もともと会社勤めも嫌で、今はフリーの個人事業主で働いるのは同じ理由からかもしれない
5,思い返せば両親とも教師で、躾とルールに厳しい人だった
6,そんな親の教育方針が嫌で、反発ばかりして10代で家を飛び出した
もともと彼が縛られてきたと感じていたのは「親」だったんです。彼の子ども時代の心の図式はこうです↓
【親=自分を縛るもの】 ⇒ 【縛られるのは嫌だ】 ⇒ 【自分を縛る親も嫌だ】
そして大人になると、自分を縛るもの=「会社」「結婚」になり、
「誰にも縛られたくなくて親から逃げてきたのに、どうしてわざわざ窮屈な会社勤めをしたり、結婚なんかしなきゃいけないんだ!?」
そう思ってきたのです。だから周りから言われる
「いつ結婚するんだ?」
「結婚考えてるの?」
「将来どうするつもり?」
「子供は欲しくないの?」
こういった言葉が、まるで両親から言われてきた
「ちゃんと宿題やりなさいよ!」
「進路は考えているのか?」
「将来はどうするつもり?」
「このままでいいと思っているのか?」
そう言われた時と同じ窮屈な感じがして、まるで逃げ場のないところへ詰め寄られたように感じていたのです。
上の言葉、言われている文言は違いますが、伝わってくる雰囲気が似ていると思いませんか?彼にとって「結婚」は、やらなければならない「宿題」であり、果たさなければならない「義務」だったんですね。
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彼はパートナーや結婚というものに、自分を縛ってきた親を投影していたので、そこから一生懸命に逃げてきました。
しかし彼のようなケースでは、パートナーや結婚から一時的に逃げたとしても、心の中では自分自身を思い込みで縛っているので、そこから解放されない限り本当の自由は手に入りません。
また親を嫌っている分だけ、親から言われた言葉や、親の生き方の反対方向へ逃げ続けているだけなので、彼の本当に望んでいる生き方を手に入れることも難しくなってしまいます。ある意味「親のようにはなりたくない」という思いにずっと縛られているのかもしれません。
ですので、彼がどれだけ
「結婚という制度そのものに問題がある!」
「『結婚したい』と言わないパートナーが欲しい」
と悩んでいたとしても、先ほどの彼女と同じように結婚やパートナーが問題ではなく、彼自身の「自由」に関する観念(思い込み)が問題の根本なのです。そして本質的な課題は、両親との関係性だということは皆さんもお分かりですよね?
彼とのカウンセリングでは、まずは、思い込みがどこから作られてきたのか?
さらに両親との関係が原因だとすればどんな体験がきっかけだったのか?
その思い込みが彼自身を幸せにしているのか?
過去の両親がなぜあんな言葉を言わなければいけなかったのか?
その背景にはどんな人生体験があったのか?
などなど、順を追って心のテーマを見直していくことで、彼を縛ってきた思い込みを一つずつ解き放っていきました。
*
もし今日のブログを読んでいて、同じような問題を抱えていると感じたら
「これは結婚やパートナーが問題だ!」
あなたがそう感じているものは、じつはそうではなくて、あなたの観念が作っているのかもしれません。
あなたにとって幸せな結婚や、満たされたパートナーシップを持つことを阻んでいるのは、あなた自身のどんな思い込みからだと思いますか?
あなたは自分自身にどんな制限をかけていますか?
どんな思い込みで自分を縛ってきたでしょうか?
今日はそれを見つけてみましょう。
いつから?何が理由でその思い込みを抱えることになったのか?についても振り返ってみてください。
もしかしたら両親の夫婦関係が影響しているのかもしれません。
あるいは過去のパートナーとの関係がきっかけだったのかもしれません。
あなたが最高の幸せを受けとれるように、まずはあなたを縛っている古い観念に気づいてください。そして必要のない思い込みを手放して、今日という日を「新しい自分で生きていく」最初の日にしてくださいね。
それでは皆さんが健康で、心穏やかに、いい時を過ごされますように。
心理カウンセラー
近藤あきとし
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