心理カウンセラーの近藤あきとしです。
いつもありがとうございます。
11月17日に【アメブロ】恋愛テクニックに掲載した記事をご紹介いたします。
●警戒心が強く間違いを認められない彼とは、どうつきあったらいいのでしょう?
以前こんなクライアントさんがカウンセリングに来られました。
(内容をブログに掲載する許可をいただいています)
「私の彼は、周りに邪魔をされるとか足を引っ張られると思っているらしく、警戒心が強くて人を信用できないことで不安を抱えているように見えます。
人前では器の大きいところを見せようとするのですが、私とケンカになると自分の正しさばかり主張してきて全部私が悪いことにしてきます。
私が怒って彼に気持ちをぶつけると、私以上に怒りだして手が付けられなくなります。そして決まって数日間はシャッターを下ろして殻に閉じこもってしまいます。
こんな彼でも私は好きなので、もっと良い関係になりたいと思っています。でも話し合うのも怖いし、また傷つくのも怖いです。私は彼に対してどんな気持ちで、どんな態度で関わったらいいでしょうか?」
ざっくりとクライアントさんのお悩みを説明するとこんな感じになります。
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まず最初に言えるのは、彼は罪悪感まみれだということです。
罪悪感という感情を抱えていると「自分が諸悪の根源です」「ポストが赤いのも、電柱が高いのも私のせいです」というくらい、「自分が悪い」「自分が間違っている」など心が自分を責める気持ちでいっぱいになってしまいます。
すると「こんな悪い(間違った)自分は、罰を受けなくてはいけない」と感じてしまうんですね。
そして、あまりにも罪悪感が大きいと「きっともう取り返しがつかない」「自分の罪が許されるはずがない」と感じてしまうので、罪悪感自体を受け入れられなくなるんです。
たとえば、あなたが実家に帰省中に日本間の襖を汚してしまったとしましょう。「しまった。やっちゃった」と思うかもしれませんが、そこは素直に「ごめん。汚しちゃった」と言えるのではないでしょうか?
ところが、これがじつはこの襖は江戸時代に有名な日本画家に書いてもらった先祖代々の家宝ともいえるシロモノだったとしたら・・・
いけないとは思いつつ、何事もなかったかのように振舞って、そのまま黙って実家を後にしたくはならないでしょうか。
人は「許されるだろう」と思っていると、失敗も間違いも素直に認められますし謝罪もできるのですが、「きっと許されないだろう」と思っているとと失敗や間違いを認めることが難しくなるのはお分かりいただけると思います。
むしろ「どうせ悪いのは俺だよ!」とでも言うかのように悪い態度をとることで、自分は悪いヤツというセルフイメージどおりの振る舞いをしてしまうんですね。
そして間違いを自分で認めたくない分だけ、彼は彼女(クライアント)に対して自分の正しさを証明することで罪悪感を感じないようにしているわけです。相手が間違っていることにできれば、自分の間違いを見なくて済みますからね。
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罪悪感という視点からさらに彼の態度や抱えている感情を解説することもできるのですが、それだけでブログが終わってしまいそうな気がするのでここまでにします。
(もっと知りたい方は私の執筆した⇒『超自立男性との恋愛シリーズ』を読んでみてください)
さてこの彼、一言で言えば自信がない人なんですよね。
自信が無いから、自分を守ろうとしますし、本来の自分以上に良く見せようとするんです。
でも、もし本当の(罪悪感まみれの)自分を見られてしまったら、袋叩きにあうんじゃないか?
良い人の仮面をつけて自分を偽っていることがバレたら、周りから軽蔑されて誰も相手をしてくれないんじゃないか?
だから彼は常に周りに対して警戒してしまうんです。「ちょっとでも隙を見せたら俺を攻撃してくるに決まっている!」という風に周りを見てしまうからです。
また自信が無いことを覆すために、彼は自分の影響力を感じたいという欲求を抱えてもいます。
彼がコントロールできる誰かが必要になるわけです。彼の言うことに従ってくれるとか、彼が思い通りにできる誰かが傍にいる時に、彼は自信を感じることができるようなんですね。(あくまでその瞬間だけですが)
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ここまで話を聞いていると、クライアントさんにとっての本当のテーマが分かってきました。
パートナーというのは自分の気づいていない自分の心。つまり無意識を見せてくれる存在でもあります。
よく「パートナーは鏡」だと言われますが、まさしくそこに気づく必要があったのです。
つまり、この彼と同じように彼女もどこか自分に自信がなくて、周りを信用できない不安を抱えていたんですね。だからこそ無自覚に彼に振り回されてしまっていたんです。
自信のない彼に自信をつけさせてあげる、それが彼との関係を良くしていくための王道の方法だったと思います。
ですが、彼女が言っている「でも話し合うのも怖いし、また傷つくのも怖いです。私は彼に対してどんな気持ちで、どんな態度で関わったらいいでしょうか?」という言葉。ここに表現されているのは、
「どうやったら彼を怒らせないで済むんでしょうか?彼を不機嫌にさせないためには私は何をしたらいいんでしょうか?」
という気持ちでした。でも彼女が欲しい関係性というのはそんな関係ではないはずなんですよね。
「私があなたと作りたいのは◎◎な関係なの。あなたとならきっとそうなれると私は思っているよ。」
そう自信をもって言えることが、彼女には最も必要なことでした。
彼女が自信を持つためには大切なプロセスがありました。それが「自分への許し」です。
彼女も過去に人間関係で大きく傷ついたことがありました。かつて彼女が傷つき「失敗した」と感じた経験から、もう二度と失敗しない自分になるために彼女は「傷ついた自分」を心の奥に閉じ込めていたんです。
彼女が心の奥に閉じ込めた、「あの時、傷ついた自分」を今も許せずに責めている分だけ、その感情を周りに投影します。
すると今度は周りの人から責められるような、攻撃性や嫌悪感を向けられるように感じてしまうんです。
それが彼女にとっては、「きっと彼に傷つけられる」「きっと彼は私を愛さない」という思い込みになっていたんですね。
許すというのは「私がこうしたら、きっと◎◎なことになる」という思い込みを手放すこととも言えます。
彼女には、かつての傷ついた(失敗したと感じている)自分と向き合い、受け入れていくセラピーをしました。
何度かカウンセリングを受けていくうちに、彼女は「自分は自分のままでいい」と感じられるようになり、自信を取り戻していったのでした。
すると彼の言動に過剰に振り回されることは減っていき、以前よりもずっと楽に関わることができるようになっていきました。
もし、読者の皆さんの中にも今回の彼女と同じような悩みを抱えているとしたら、パートナーではなく、あなたの中に「許していない過去の自分自身」がいないか?見つめ直すことが問題を抜け出すヒントになるかもしれませんよ。
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最後まで読んでいただきましてありがとうございました。次回もお楽しみに。
それでは、皆さんが健康で、心穏やかに、いい時を過ごされますように。