いつもありがとうございます。
心理カウンセラーの近藤あきとしです。
「上昇志向が強い彼」がパートナーという女性クライアントからの相談というのは、すごく多いんですよね。
仕事やキャリアの目標、将来のビジョンを明確に持っていて、目標に向かって真っすぐ進んでいるようなタイプ。
でもこういう男性は
・恋愛が二の次になってしまったり、
・彼女よりも仕事を大切にしてしまったり、
・おつきあいが短期間で終わってしまうなど、
なかなかパートナーシップがうまくいかないというお悩みをよく伺います。
上昇志向が強くなる理由は大きく分けると2つです。
1,成長するのが楽しいから
2,コンプレックス(劣等感)を克服したいから
1の場合は、こういう彼とつきあった場合に出てくる一番の問題は、「彼女側の劣等感」です。どういうことかというと、
「彼はいつも勉強熱心で、情熱をもって仕事や好きなことに取り組んでいる・・・」
「そんな彼がパートナーでよかった」
と初めのうちは嬉しかったり、彼を尊敬できたりするのですが、そのうちに、
「私なんかが彼の恋人でいいの?」
という不安が出てくるんです。これは憧れの人とおつきあいできた経験のある人には、もしかしたら分かりやすい感覚かもしれません。
彼があなたとつきあったのは「僕はこの人をパートナーにしたい」と思ったから恋愛関係になったわけですが、自分自身がその価値を受けとり切れてないんです。
すると不安や嫉妬、劣等感に悩まされて、つい彼を否定する言動をとったり、怒りをぶつけて攻撃的になってしまったり、彼の前で引きこもってしまったりするんです。人によっては、
「私が恋人じゃないほうがいいよね。他のもっと素敵な女性を選ぶほうがあなたの幸せのためになるから・・・」
と身を引いてしまう場合もあります。
これは彼女の心の奥で「こんな嫌な感情を感じさせるあなた(彼)の傍にいられない」という気持ちがあるため、彼を攻撃したり、遠ざかりたくなるからなんですが、
彼にしてみれば「え?どうして?」となるのは、お判りいただけますよね。
彼からすると、あなたの態度は意味不明ですから「なんでそんなに怒っているの?」「何か嫌なことがあったの?」という気持ちでいっぱいになって、彼を疑心暗鬼にさせてしまうんです。
もし、あなたが同じような状況にいるとしたら、答えはシンプルです。
彼があなたに見てくれている価値を受けとり切ることが必要なことだからです。あなたが自分自身に見ているセルフイメージを、本来のものに戻すことです。
言い換えると、彼があなたに見ている価値を信頼すること、ですね。
とは言え、分かっていてもなかなか出来ない場合もあります。そこにはもしかしたら、あなたの自己嫌悪が隠れているからかもしれませんし、無価値感(愛される価値がない)が刺激されるからかもしれません。
※こちらの記事が参考になりそうです↓

もし一人で乗り越えるのは難しそうだと感じたら、カウンセリングであなたが抑え込んできた感情を丁寧に見直してみることをおススメします。
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次に2の場合。こっちの動機の男性の多くは、パッと見た印象ではまったくコンプレックスや悩みを感じてなさそうだったり、自信があるのが見て取れて不安とは無縁のように思えたりします。
が、だからこそ、外側の仮面の下にコンプレックスを隠していたりするんです。
特に過去に、
・家にお金が無くて、嫌な思いをたくさんしてきた
・勉強ができずにバカにされていた
・子供の頃は身体が弱くていじめられた
・仲間外れにされて、いつも孤独だった
・兄弟が優秀で、いつも自分は比べられてつらかった
・両親が競争意識が強く、勉強やスポーツで1番になることを求められてきた
・父親がダメ男で軽蔑している
・逆に父親が偉大すぎて、いつも劣等感を抱えてきた
など、「弱さ・弱者」で嫌な思いをしてきたことが過去につきまとっていると、そのことで苦しい思いをしてきた男性は、そのコンプレックスを跳ね返そうとして、強くなろうとするんです。
こうした過去の依存時代に嫌な思いをして、傷ついた人ほど、二度とあんな目にあいたくないと心に誓って「超自立」するんです。
(男性だけの話ではなく、女性にも超自立した人はたくさんいます)
戦後の日本はまさにそんな状況でしたでしょうし、現代でも発展途上国、あるいは周りの国との競争意識が強い国やコミュニティで育った人の自立意識が強いのも、こうした心理がベースにあるからです。
皆さんの周りの競争意識が強い人に、「なんでこんなに過剰に勝ち負けにこだわるんだろう?」「そんなに人と比べて優越感を感じたいの?」と感じることがあるかと思いますが、こうした過去が背景にある場合がとても多いんです。
そうなると、このタイプの超自立男性にとって、一番重要なことは「だれにもバカにされないような人間になること」だったりします。過去に味わった惨めな思いを、金輪際感じなくて済むような人間になることなんです。
男性にとってバカにされないとは、典型的には
・肉体的な強さ
・高学歴
・社会的地位
・高収入
・家、車、ブランドなどの持ち物
などが優先順位が高いと言えます。最近ではSNSやYouTubeのフォロワー・登録者・再生数なども入ってくるかもしれませんね。
気づいた方もいるかもしれませんが、ここには恋愛や家族愛などはあまり入ってくることはないんです。入ってきたとしても「家柄の良い彼女」とか「モデルや女優の妻」とか、何かが前についてくることが多いです。
どういうことかというと、パートナーを自分のステータスシンボルにしてしまう、というわけです。こんな書き方をすると「なんて嫌味な」「最低」と思うかもしれませんが、彼らには悪意はないことがほとんどです。
人は誰もが不足感・欠乏感を埋めようとありとあらゆるものを利用したくなるものです。彼らも「過去に無かったもの・もらえなかったもの」を、必死に手に入れようしているがゆえの、行動なんですね。
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少し付け加えると、心の奥底では「過去に●●があったら、あんな苦しみはなかったはずだ!」、「あの時◎◎があれば、家族(や大切な誰か)を救うことができたのに!」と思うものを、一生懸命に手に入れようとしている姿でもあるんです。
たいていの場合、彼らは「これを手に入れるのが人生だ」「生きるために大切なのはこういったものなんだ」と思い込んで(時には思い込もうとして)、目指すモノに突き進んでいます。
ただ心の奥底では、何か満たされないような「心の渇き」を感じながら生きている場合が多いんです。
しかしながら、そういった満たされない感じを認めてしまうと、そこで立ち止まってしまうので、今回のテーマのような上昇志向の強い「超自立男性」は、後ろは振り返らずに必死に走り続けてしまうのです。
本当は、この満たされない感覚に向き合うことが、終わりのない心の渇きを癒す一番の方法なのですが・・・それは恐すぎてできないんですね。
ちなみに、このタイプの超自立男性のカウンセリングをすることもあるのですが、立ち止まって振り向いて過去と向き合うまでがものすごく時間がかかるんです。
なぜなら、それをしなくていいように必死に前だけを向いて走り続けてきたのに、過去(の感情)に向き合うということは、つらい体験を思い出して、かつての心の痛みに直面しなくてはいけないからです。
さらに余談ですが、いわゆるプレイボーイタイプや野良猫タイプの「超自立男性」も、こうした心の渇き・過去の痛みを抱えていますが、そこに向き合わないために浮気をしたり、複数の女性と関係を持ち続けたりするのです。
ただし、一時的に痛みを麻痺させるだけの麻酔薬がわりなので、これもまた終わりがないのですが。
※プレイボーイタイプの超自立男性についての記事はこちら↓

ハードワーカーなどは、仕事が麻酔薬になっているケースも少なくないですね(自分で書いていて恥ずかしくなってきた)。※詳しくは近藤のプロフィールをご覧ください
この心理パターンのすべてに言えるのは「男性としての自信の無さ」から生じています。褒め上手な女性がモテるのは、男性の傷に触れずに自信を与えることが上手だからなんでしょうね。
あなたに上昇志向の強いパートナーがいるとしたら、彼はいったいどんな心の渇きを抱えていて、どんな心の痛みから逃げてきたのか?
今日は、彼はどんな過去の背景を持っているんだろう?という眼差しで見つめてみてください。
長くなりそうなので、次回に続きます。
それでは皆さんが健康で、心穏やかに、いい時を過ごされますように。
心理カウンセラー
近藤あきとし
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