パートナーを疑ってしまうのは、信頼することが怖いから

いつもありがとうございます。
心理カウンセラーの近藤あきとしです。

前回、前々回と「親子関係」と「期待」という心理が人間関係に及ぼす影響についてお話ししてきました。(記事のリンクを貼っておきますので、ザッと目を通してから読んでいただくと、より深く今回の内容を理解できると思います。)

前回の記事「パートナーに期待しすぎるのは未完了のニーズがあるから」では、恋愛をしている時におちいりがちな代表的な2つのパターンをご紹介しました。

1つは、両親に甘えられなかった部分を、パートナーにすべて期待して、欲求を叶えてもらおうと押し付けてしまうパターン。

2つ目は、「親も期待に応えてくれなかったのだから、きっとパートナーもダメに決まっている」と思って、男女関係に疑い深くなったり、上手くいかない相手を選んだり、最後には諦めるしかないというパターン。

先月は前者のほうを詳しくお話しましたので、今月は後者のもう1つのパターンについて掘り下げてみたいと思います。

上記のどちらのパターンにも言えるのは、子供時代に要求を満たしてくれなかった「両親への失望」が隠れていることです。

さらに、そう感じている分だけパートナーを理想の親にしてしまいたくなるのです。

そうでないと、バランスが合わない感じがするからなんですね。

「親子関係」の不足分を「男女関係」で補おうとしてしまうわけです。

ここで後者のもう1つのパターンに当てはまる人は、

「でも、そんな理想的な最高のパートナーなんているわけないじゃない」

という絶望を強く感じます。そうなると、

「どうせ私は幸せとは縁が無いに決まってるわ」

とか、

「人生に楽しいことなんて何もないし、何の為に生きてるか分からない」

という、無意味さや虚しさが心に常に横たわっている感覚をもっていることが多いのです。

前者の場合は、パートナーへの要求が強くなって「我がままを聞いてもらうこと」が愛だと感じてしまうのに対して、

後者の場合は、無意識に相手を疑いの視点から見てしまうんですね。パートナーの出来ていない部分を見つけてダメ出ししてしまったり、警戒しすぎて異性に近づくこと自体が難しくなることもあります。

私たちはパートナーへの期待よりも疑いが強くなると、相手を信頼することが怖くなります。

付き合ってから半年経っても1年経っても、パートナーを信頼するのが怖くて、甘えられない人もいます。

例えば、彼から「そろそろ結婚したいね」なんて話題も出ているのに、彼を信頼できないので素直に返事ができなかったり。

結婚することが決まったのに、パートナーを信頼できない。幸せよりも恐れと不安で一杯という人もいます。

信頼してもらえなかったと感じているパートナーは、あなた不満を言ってきたり、寂しさを表現したり、自分ではあなたの役に立てないと思って、関係を終わりにしたいと言い出すこともあるかもしれません。

マリッジブルーなどのご相談でカウンセリングに来られた方のお話をよくよく聞いてみると、こういった心理が隠れていることが少なくないんですね。

このパターンにおちいっている人は、子供時代からずっーと欲求(ニーズ)を抑圧している人がほとんどなんです。

だから恋愛関係になると、まるでダムが決壊して水が止めどなく流れ出てしまうかのように、抑えてきたニーズが一気に溢れ出てしまうのではないかと感じるんですね。

自分が際限なくパートナーに甘えてしまうのではないかということを恐れているんです。

かつて子供時代に親に失望してから、禁止していた「依存的な自分になること」に許可が出せないんですね。

そして依存的になるのが怖かったり、甘えることへの嫌悪感を感じる分だけ、そうはならないようなルールを自分に課していくんです。

例えば、

「依存的な女は嫌われるに決まっている」「パートナーには甘えない」「絶対に弱みは見せないわ」というルールを頑なに守りながら恋愛をしている人もいます。

(なかには、恋愛には全く関心をもたないようにしている人もいます。)

周りに「依存的だと思われたくない」ということを気にしすぎてしまうんですね。

するとやっぱり、パートナーは甘えてくれない、頼ってくれないあなたに寂しさを感じて、頼ってくれる別の異性の元へ行ってしまうこともありえます。

みなさんの中にも、「そういえば私、同じようなパターンを繰り返してるわ」という人もいるかもしれませんね。

恋愛関係というのは、私たちの持つ人間関係の中でも特に心の距離が近くなってしまう関係です。

そして心の距離が最も近い関係の代表は、言うまでもなく親子関係ですよね。

相手との心理的な距離感が近くなってくると、親子関係と同じような親密感になるので、心はパートナーを「家族」と誤解しやすくなるんです。

よく聞く例としては、恋人同士が家族みたいな間柄になってしまって、良い意味ではお互いに認め合い、受け入れ合っている関係です。

でも悪い意味では、空気のようにあたりまえの感覚になってしまい、いつの間にか感謝をすることを忘れて、お互いを大切にする気持ちが希薄になってしまう。なんてこともありえます。

また特に、家族関係で経験してきた痛みがある場合には、

「家族と同じような近さにいるパートナーとの間で、また過去の痛みが繰り返されるんじゃないか?」

と怖くなるんですね 。

これは、親子関係で解消していない未完了の葛藤を、男女関係でカタをつけようとしているんですね。残念ながら上手くいく可能性は低いことは分かりますよね。

そこで、今ちょっとだけ自分自身を振り返ってみましょう。

あなたは過去に両親との関係で、

「どんな欲求(ニーズ)が満たされなくて失望したのか?」

そして、「その家族関係の痛みから男女関係の親密感を持つことを恐れていなかったか?」

この種の恐れが、あなたとパートナーの心の溝となって親密感を遠ざけてしまうんですね。

私たちが恋愛がうまく行かない時必ずと言っていいほど、

心の中に「親密感への恐れ」と「コントロールを手放すこと(対等さ)への恐れ」が隠れています。

今日は、あなたの心の中にある、この2つの恐れを探してみてくださいね。

恐れがあることに気付いたら、ずっと抱えてきたこの恐れよりも、目の前のパートナーとの幸せを大切にする方を選ぶと決めてみましょう。

※次回は、今回の記事について読者からお寄せいただいた質問にお答えします。

今日も最後までお読みくださいまして、ありがとうございました。

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