いつもありがとうございます。
心理カウンセラーの近藤あきとしです。
前回の記事の中で、
日々カウンセリングをするうえで、私がいつも自分に対して確認していることがあります。
それは、「私はクライアントさんのことを何も分かっていないし、何も出来ない」ということです。
ということを書きました。
これは自分の無力さを受け入れることの大切さを忘れないためでもあるんです。
今から10年ほど前、まだ私がカウンセラーを目指して勉強中の時代に、ある先輩カウンセラーからこんな言葉を聞いたことがあります。
「クライアントさんに向き合っていて『あれこれ考え尽くして手を尽くした末に、もう何をしたらいいのか、どんな言葉をかけたらいいのか分からない』状態になったとしても、それでも『じゃあ、ここから何が出来るんだろう』を考えるのがカウンセラーなんだよ」
私は今もカウンセリング中に悩んでしまうことは、少なからずあるんですよね。そんな時は、ついつい
「自分はなんて役立たずのダメなカウンセラーなんだろう」
という思考にハマってしまったりもします。
そんな時に、不安や無力さから目をそらしたり、はじめから無かったことにしてしまうと、焦りとともに「とにかくなんとかしなきゃ」という心の罠に簡単に追い込まれてしまいます。
そうした状態でいるときには新しい発想や、柔軟なアイデアを生み出せる余裕がどこかに失われているのは想像できますよね。
この罠にかからないために最も大切なことは、「不安や無力さを感じていても良いんだ」ということを自分に許すことです。
この瞬間、自分の心に感じているモノをそのまま感じていいて良いんだと許可してみる。
どんな感情もそれが自然なことと、穏やかに、でもしっかりと、確かにここにあると感じながら受け止めてみる。
すると、心を占めていた「なんとかしなきゃ」という焦りが遠ざかっていくのです。
カウンセリングの場とは不思議なもので、カウンセラーがこの種の感情に捉われているときにはクライアントさんも同じように行き詰っていたりするのです。
「なんて自分は無力なんだ」という自己嫌悪に捉われて、自分を責めていることが少なくないんですね。
そういった状況で、私の方が自分の存在をそのまま肯定できていないと二人でドツボにハマって、問題の周辺をぐるぐると同じトコロを回り続ける、なんてことになりかねないのです。
「不安も無力さも受け入れられる自分でいて良い」ということは、今のままの自分自身で、この場にい続けることを許すことなんですね。
すると、あらためて地に足をつけた、自然な自分本来の心の姿勢で希望の方を向くことができるのです。
『じゃあ、ここから何が出来るんだろう』という言葉は私にとって、自分を追い込むのではなく、クライアントさんのために、今自分にできることは何か?
という本質的な問いかけを与えてくれるものでした。
心理カウンセラー
近藤あきとし