カウンセリングをしていると、クライアントが慢性的な問題に悩んでいる時に、そもそもその前提として「誤った思い込み」を抱え続けているが故にいつまでも同じ問題を抱え続けていた、というケースに出会うことが良くあります。
「自分には、○○(お金・才能・チャンスなど)が無いから無理だ」
とか、
「私には助けてくれる人が一人もいないから」
「今の状況(または相手)が変わらない限りどうにもならない」
と言って諦めてしまったり、いつの間にか自分で制限を生み出したり、勝手に孤独になっている、という思い込みを作ってしまうことで、上手くいかない人生に自分自身を縛りつけてしまうと、どんどん苦しい方向へ向かってしまうでしょう。
また「こうしたら上手くはずだ」というやり方・ルール・信念の背景に何らかの思い込みがあり、それが誤っていることに気づけないと、そこにしがみついてしまい、他の方法や考え方を試すことになかなか思いが至らないことも良くあることです。
その結果、同じ問題に何度もつまづいてしまうという場面も出てくるでしょう。
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■「誤った思い込み」を手放せないと…
「人様に笑われないような、立派な生き方をしなくてはならない」
という思い込みを持っていると、世間体や周りからの見てくれだけを気にして、自分に近い人(家族やパートナー)には横柄な態度をとり、距離のある他人に対してだけは、優しくモノ分かりの良い人になることもあるでしょう。
しかし結果、家族との関係が上手くいかなくなるかもしれません。
「男は泣いてはいけない」という思い込みを持っていると、それを忠実に守っていれば親から褒められることもあるでしょう。
しかし成長してから、パートナーの前でも泣き言の一つも言わずに、いつも前向きに頑張っていたら、
「何を考えているのか分からない」と言われてしまい、心の繋がりを作れずに、相手に寂しさを感じさせてしまうかもしれません。
「彼に合わせて言うコトを聞いていれば、きっといつか私の方を向いてくれる」という思い込みがあると、自分を横に置いて犠牲的に相手に尽くしてしまい、彼が自分の力で課題を乗り越える機会を奪い、成長のチャンスの目を摘んでしまうかもしれません。
「お金は汚いモノ。お金持ちはみんなうす汚れた人たちだ」
という思い込みがあると、稼げない仕事を無意識に選んでしまったり、手元にお金があることに嫌悪感を抱いて、浪費やギャンブル癖など常にお金の問題を抱えることになり、豊かさや幸せが遠のくこともあるでしょう。
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今の自分が抱えている「思い込み」が、子供時代などの成長過程のある時点では成功していたやり方やルールであっても、違う成長過程でのある時点では成功につながるやり方やルールになるとは限らないんですね。
思い込んだ時点では、それが正しかったし、それで良かったかもしれません。
しかし、成長後や人生の別の場面ではその「思い込み」が逆に「問題」を作ってしまうこともあるのです。
また幼少期に親に言われて、深く考えずに鵜呑みにしている考え方・ルールもあるかもしれません。
ただ、本来私たちは誰にも強制されて生きているのではないのですから、いつでも「誤った思いこみ」を手放して、自分の力で人生を選び直すことができるはずなんですね。
しかし一度思い込んでしまと、自分に「誤った思い込み」があるのではないか?
とか、このやり方やルールはもう今の環境には合わない、今の時代では古くなっているのではないか?という考えには、なかなか思いが至らないものです。
私たちには、なぜか分からないけどいつも同じところでつまずくとか、それまでとは違う時代・違う場所・違う人間関係の中にいるのに、いつも同じパターンの問題が現れてしまう、という時があります。
そういう時には、自分の中に何らかの思い込みがあり、本当に今それが必要か考え直したり、不要であれば手放したり、別のやり方や考え方も試してみた方が良い時期に来ている、ということに気づくべきだと問題のほうが教えてくれていると考えてみることが必要かもしれません。
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実は私たちの周りには、数え切れないほどの多くの情報・メッセージ・真理や定説と呼ばれるものがあり、それらが四方八方から常に私たちに流れ込んできているような状態なのかもしれません。
しかしそれら全てを一々、それはどういうもので、これは役に立つのか立たないのかということを吟味・判断していては、それだけで一生が終わってしまうかもしれません。
おそらく思い込みとはそれらの情報に偏りをつけることで、私たちが受け取りやすいものだけを選り分けて自分に取り入れることを可能にしているものなのではないかと、私は考えています。
ある意味思い込みとは、私たちが欲しい情報だけを楽に手にすることができるフィルターのような役割といえるでしょう。大事なことはどの情報を選り分けられる「思い込み」というフィルターを選ぶのかということです。
つまり数え切れないほどの膨大な情報を、「思い込み」があることで、私たちが無意識的に必要なものを選ぶことができ、その結果が今目の前の世界を作っていると言えます。
それがよく言われる“私たちが無意識で感じていることが現実となって私たちの周りに現れている”、ということなのだと思っています。
だとすれば「思い込み」そのものに、正しい間違いがあるのではなく、今手にしている「思い込み」が、私たちの願いを叶えるために本当に役に立っているのか?、人生を豊かで幸せなものにするために本当に必要なのか?
それとも、私たちの人生を「制限」しているだけのものなのか?
ということを、私たちが問題に遭遇した時や、人生を次のステージへと進めて行きたくなった時などに、その都度その時に見つめ直して選び直していくことが大切なことなのかもしれません。
先ほどから「誤った思い込み」と書いてきましたが、本当は「今の自分に不要な思い込み」を手放す、というのが、本来の表現なのかもしれませんね。
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また、カウンセリングをしていると
「私って何をしても上手くいかないんです」
という思い込みを持っている人と出会うことがよくあるのですが、
同じ思い込みなら、
「私って何をしても結局幸せになってしまうんですよ~」という思い込みもあっていいはずなんですよね。
そして、それは私たち自身が選ぶことができるものです。
今日は、「何をしても上手くいかない人生」と「何をしても幸せになってしまう人生」と、あなたならどちらを選びたいのかを自分の心に聞いてみてくださいね。
※前回の記事のように右手と左手それぞれに乗せて選んでみてもいいでしょう。
最後までお読みくださいまして、ありがとうございました。
では、また次回をお楽しみに!