いつもありがとうございます。
心理カウンセラーの近藤あきとしです。
2014年2月11日に開催されました、東京カウンセラーズ・フェスタで講演させていただいた『最高の恋愛は最高の癒し(ヒーリング)』の内容を5回(4月17日~21日)にわたってお送りしたいと思います。
今回が第4回になります。
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そんなAさんにも久しぶりにフリーの彼と恋をする機会がきました。
彼は同じ芸術関係の仕事をしている人で、一緒にいるとお互いを高めあえるような刺激と、飾らずになんでも話せる安心感を与えてくれる、とても素敵な彼でした。
そして彼女は、そんな彼とずっと一緒にいたいと思うようになったのです。
当時Aさんは地方に住んでいて、彼は東京に住んでいました。
「できれば私も東京へ行って彼のそばにいたい」
その気持ちが大きくなっていく一方で、あのお母さんが何と言うか、それを思うと彼への気持ちが後ろから何かに引っ張られるような感覚もありました。
東京へ行けば今よりずっと仕事の幅は広がるし、チャンスも増えるはずです。
昔から憧れていた、アメリカやヨーロッパなど芸術の本場で勉強することも出来るかもしれない。
夢と恋愛の両方が一度に手に入るかもしれないのに、Aさんはなかなか前向きにはなれませんでした。
なぜならその何年か前にも、一人で東京へ出てチャレンジしたいことを両親に打ち明けた時に、お母さんがおかしくなってしまうのではないかというくらい取り乱してしまい、諦めざるを得なかったことがあったのです。
その時はお母さんが、
「もし今の部屋を出て行ったら警察へ捜索願を出すからね」
と言っていたのですが、本当にそうしかねない雰囲気を感じたこともあって、不本意ながら断念したことがあったのです。
早く東京へ行きたい、彼のところへ行きたい思いが強くなっていくのを感じながらも、お母さんのことを考えると、それも言い出せないという悶々とした日々をしばらく過ごしていました。
そんなある時、AさんはテレビでDVの特集をしていた番組を見たそうです。
妻が夫の暴力に苦しめられながらも、お互いに問題を持ち続けてしまう共依存の関係に陥っている為に、誰にも助けを求めず家を出て行くこともなく耐えている姿を見ているうちに、思わずこう言いたくなったのです。
「どうして逃げ出さないの、逃げて離れないと一生苦しむんだよ」
そう思った瞬間、脳裏に浮かんだ思いがあったのです。
「これは私の姿だ」
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「私もここから逃げ出さないと、ずっと苦しむんだ」
「私は本当の私になる為に、お母さんから離れないとダメなんだ」
その思いに気づき、彼女はお母さんに事情を話すことなく、それまで住んでいた部屋を引き払って東京へ出て行くことを決めました。
捜索願を出されないよう、月に一度実家に手紙を出して無事でいることを伝えるようにもしました。
その際、東京での住所が分かってしまうと連れ戻しに来ることが考えられたので、手紙は日本全国の知り合いに頼んで、様々な場所から投函してもらうようにもしたそうです。
そして、手紙のあて先は全てお父さん宛にしてあったそうです。
今までのお母さんとの関係、苦しんできた過去、彼への思い、仕事に対する覚悟を綴った手紙を出し続けました。
最初は心配していたお父さんも、娘の必死な思いを知るうちに、次第に応援してくれるようになり、
「お母さんのことは心配しないで、お前はお前のやりたいことをやりなさい」
そう言ってくれるようになっていったそうです。
お母さんは最初のうちは取り乱すこともあったそうですが、お父さんのサポートもあって今では、
「あの娘をあそこまで追い込んでしまったのは、私なのね」
と話すようになり、不安に振り回されながらも自分と向き合い、ようやく子離れが始まったとのことです。
Aさんは、東京へ出てきた数ヶ月は彼のそばへ来れた幸せよりも、お母さんを置いてきたという思いに苦しんでいましたが、勉強の為海外へ度々渡るなど、やりたかった仕事に没頭していきながら実家との距離間に馴染んでいきました。
そうして少しずつですが、今の自分にOKを出せるようになり、彼から愛されることへの恐れも取り除かれていきました。
また彼に愛されることが自分だけでなく、彼の喜びにもなることにも気づくことができました。
彼との生活を大切にしたい思いが育っていく中で、以前ずっと感じていた
「実家(お母さん)を一番に大切にしなくては」
という気持ちを手放していく助けにもなっていったのです。
そして彼女は今、少しずつ自分の幸せを手に入れていっています。
私はAさんのエピソードを講演で紹介する為に、改めてAさんと何度か話をしてきたのですが、その時にこんなことを聞いてみました。
「もし今現在、癒着関係に悩んでいたり、そもそも癒着をしていることに気づけずに、何か違和感を感じながら苦しんでいる女性に伝えたいことってありますか?」
そして後日、彼女はこんなメッセージを送ってくれました。
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次回に続きます。