第8回『苦行マニアのあなたへ』 ◆◆もしもあなたに世界が救えるなら◆◆

みなさんは、表向きには良い人で、誰にも頼らず自力でがんばっているけど、どこか苦行や修行のような気配が漂って、周りの人が見ていて辛くなってくるという誰かや、シチュエーションに心当たりはないでしょうか?

私はサラリーマンの頃はまさに、この苦行を続けていました。

残業が月に100時間を超えるのは当たり前で(その他にサービス残業も)、仕事も周りに渡さず、回ってくる依頼はすべて受け入れていましたので、仕事中毒と言ってもいい状態でした。仕事以外は目に入らないといった心境でめり込んでいたのです。

当時は気づいていなかったのですが、自分ががんばっているだけにどうやら周りにも同じくらいの、“苦行レベルのがんばり”を強要する雰囲気を振りまいていたようです。

表向きは、温和で良い人、働き者で通っていたので、きっとかなりギャップを感じさせていたと思います。

周りに、私の求める苦行レベルまで頑張っていない人がいると感情は表面には出さずに抑えていたものの、無意識のうちにその人を強く責める空気を、醸し出してしまっていたので、仕事中はかなり近づきがたいオーラを漂わせていたらしいのです。

自分の働きにも全く満足できていなかったので、上司や周りから認められても、あまり素直には喜べませんでした。
ただ認めて欲しいと思ってなかったというと、むしろ承認されたいという欲求はとても強かったのです。

とにかく苦しくても続けなくてはいけない。いや苦しんでいるからこそ、自分が存在できるんだという、おかしな感覚を持っていたものです。

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なぜかそんな苦しい道ばかりを、選んで歩んでいるように見える人を「苦行マニア」なんて呼んだりします。少し失礼な呼び方ですが。

なんだか自分のことを言われている気がする、という人もいるかもしれないですね。あるいは、自分の周りに似たような人がいるなあと思う方もいるのではないでしょうか?

なぜそんな、わざわざ苦しいことを続けてしまうのかというと、苦行をしてしまう人というのは、心が「過去」のある時点を向いているからなのです。罪悪感を感じていることが動機となって、「過去の罪」を「現在の苦行」を続けるコトで償っているのです。

おそらく過去の罪に対して、どれだけがんばって苦行をしても、完ぺきに償いきれるものではないでしょう。

また罪の意識がある分だけ、助けを求めることもできないので、やればやるほど苦しくなってしまうのです。そして周りも、その人を見ているだけで辛くなってしまいます。

自分だけでなく、周りの人も傷つけてしまうのが「苦行」なんですね。 

それに対して、現在の誰か、パートナーや家族の幸せの為にがんばっている人は、心が「現在」を向いているのです。

愛情を与えることが動機となっているので、例え困難にぶつかったり問題が起きても、周りを信頼し援助を受け入れながら、周りと共に乗り越えることができるんですね。

苦行をしてしまう人というのは、決して許されない悪いことをしたとか、自分はすごくダメで劣っている人間だ、と感じていることが多いのです。

おそらく、「いや、私はそんなことはないよ」という方もいると思います。

が、実は罪悪感というのは、普段ほとんど感じられない感情なので、表面的に自覚できることは、あまりないのです。

ただ、こんな風に考えていたら、注意した方がいいかもしれません。

・人柄じゃなくて、結果(あるいは数字)だけで自分を見て欲しい。

・職場に貢献できない人は辞めてもらってけっこう。

・効率をあげるには犠牲も必要だ。

つまり、「何もしていない=自分はダメだ・価値がない」ということになり、そんな自分は愛されたり、認められるはずがない、と考えてしまうのです。

でもそれを受け入れるのも嫌なので、本当は苦しくて止めたいハズなのに止められないという、悪循環になってしまうのですね。

こういった心理を持ち続けたままでいると、苦行をしている自分はそれなりに受け入れられても、ハメを外して楽しむことや、腹の底から笑うことなど、自分を喜ばせることがとても苦手になるものなんですね。

それが長い間手放せずにいると、次第に自分を痛めつけるようになり最後には私のように病気になったり、事故を起こしたり、燃え尽きてしまうのです。

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今回は仕事という例でお話していますが、同様なコトは夫婦生活、恋愛、対人関係でも起きてきます。

程度はみなさん違っていても、自分もいつの間にか苦行をしてはいないかな?と振り返ってみて気づけたら手放す、ということを意識してみてくださいね。

「苦行」というのは、罪悪感が動機になっているものですから、苦しむことにその目的があるので、意識して自分を振り返らないとなかなか気づきにくいものです。

しかし苦行は周りの人たちに、あなたの苦しむ姿を見せているだけでなく、助けの手も受け取らないので、自分以上に周りも傷つけてしまうのです。

今すぐに止めようと思って、止められるものでもありませんが、今日は苦行をしていることに気づければ、あなたが幸せになる道を選ぶだけで、周りの人たちも幸せにしてあげることができる、ということだけでも覚えていただけたらと思います。

次回、『苦行マニアのあなたへ2』へ続きます。

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