心理カウンセラーの近藤あきとしです。
いつもありがとうございます。
すっかり時間が経ってしまいましたが、3/17のオンライン講座『罪悪感がもたらす癒着という問題』をご視聴いただいた皆さんありがとうございました。
いつものことながら内容を詰めすぎて質疑応答の時間が無くなってしまいましたね。
さて、今日は講座中にいただいたご質問にお答えしたいと思います。
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まずは1つ目のご質問から、
A,良い質問ですね。では、より理解を深める為にまず母性からお話しましょう。
母性の性質は、慈愛、やさしさ、感情や感性の豊かさ、共感力、(女性的な)包容力、今ここの幸せを受けとる力、などがあげられます。
それに対して父性は、理性、智慧、ルール、判断力、決断力、行動力、前に進む力、理想を目指す力、などです。
母性がすべてを一つに受け入れていく力、壁を越えてつながりをつくる役割、今ここの幸せを感じる感性など内側を豊かにする内向きの要素だとすれば、
父性は「あれは良い。これはダメ。」と区切りをつける、絶つ力、また家族や組織をつくるなど外側(アイデンティティとも言えます)を固める壁を作る役割、さらには家族により良いものを持ち帰るために外の世界へ出ていく外向きな要素だと言えます。
子供は幼いうちは母性によって育まれ、守られることで成長しますが、母性とのつながりを持ったままだと、いつまでも『自立』ができないままになってしまいます。
成長過程のどこかで『母性から解放される、切り離される』プロセスが必要になります。
たとえば、保育園や小学校へ行きだすと当然ですが、家の外の世界で家族以外の人たちと関わっていきますよね。家の外の世界が『社会性』を身につけていく場になっていきます。
この時期は、子供は学校から帰るとまずは母親の元へ行って甘えますよね。母性に受け止められて安心したいからです。
ここで「ケンカした友だちと仲直りしに行ってきな!」と周りとの関係を自分でどうにかできるように後押ししたり、「いじわるしたらダメだよ。謝ってきなさい!」と物事の良し悪しや、社会の中で生きていくためにやるべきことを教えていくのが、父性の役割です。
何があってもすべてを優しく包み込んでくれる母性に対して、そこから切り離して『一人立ち』できるように促していくのが父性なんですね。
これは社会に出てからも一緒で、たとえば会社が母性的な「社員ひとりひとりの思いを大切にします」という姿勢でいると居心地は良いかもしれませんが、そのままでは企業として何も決まりません。
企業としての理念や意義を掲げ、目的を明確にすることで方向性を見出し、業務が前に進むように促すことができます。品質目標を守ることで良質な製品やサービスが提供できますし、評価基準を決めることで意欲も高まり、クリアできれば達成感を感じられます。
成果をあげるには父性もキチンと機能することが大切なのです。
父性はどのように子供や人とつながるか?という質問も書かれていましたが、上に書いたような『家の外の世界』『社会』での生き方を教えることによって関わります。
母性が【無償の愛・無条件の愛】だとすれば、父性はある意味【条件付きの愛】かもしれません。
どこまでも受け入れる母性に対して、父性には「これはダメ。これは良し。」という区分けがあるわけです。ただ、それは言い方を変えれば「そこじゃない!お前はきっとここまで来れる!」という導く愛だと言えます。
母性が「今ここの豊かさ」を教えてくれるものだとすれば、父性は「ここに無い、もっと素晴らしい場所」を教えてくれるものなのです。
母性のような直接つながりにいく関わりではなく、外側を守る。より良いものや理想を教える。未来を見せる。自らの姿勢で導く。こうしたつながり方が父性的な関わりなんですね。
父性の後押しで新しいチャレンジへ飛び込んでいく勇気を持てますし、目的や目標を立てて進んでいく力がつきます。
たとえ失敗したり、思い通りにならなくても、母性によって「あなたはあなたのままで価値があるのよ」と受け入れてもらえると、何があっても大丈夫だと思える大きな安心が心に育つのです。結果もう一度前に進む力がでてきます。
子供の成長にはどちらも大切ですし、バランス良く受け入れることで、社会へ出ても一人でやっていける力がついていくわけですね。
離婚などでシングルでお子さんを育てている親御さんは、1人で父性と母性の要素を子供に与えることになるだけに、労力も悩みも倍になるので本当に大変だと思います。
なお、母性も父性も(女性性も男性性も)こうしたイメージを想起させる心理的な要素を言うので、男性の中にも母性はありますし、もちろん女性の中にも父性はありますよ。
父性が強い母親もいれば、母性が強い父親もいますが、人は無意識に心理的なバランスをとっているところがあるので、夫婦の組み合わせでうまくバランスがとれていたりします。
講座では、戦後の核家族化、父親が仕事で不在がちなことで家の中の父性が弱くなったため、日本では母子癒着が強く残っているケースが多いという話をしました。
ただ祖父母や親戚が代わりの父性の役割を担ってくれる場合もあれば、子どもが無意識に外で父性を感じる人(先生など)と仲良くなることで上手に補っている場合もありますね。
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次に2つ目のご質問、
A,その通りです。“最初”はお母さんが癒着する側になります。
母親が子供に対して抱く愛情は並々ならぬものがありますよね。
お腹の中ではつながっていたわけですから、子供が自分の分身のように感じたとしても不思議ではありません。もしかしたらそれ以上の存在に感じる場合だってあるかもしれません。
講座では省きましたが、このあたりは【グレートマザー】の元型(アーキタイプ)の働きだと言えます。
母性とは、命を受けとり、産み、育むものであるのと同時に、心理的な境界線を踏み越えて他者の心に侵入していく性質も持っている。
そんな母性の力の強大さ、言わば「すべてを一つとして守り愛する、命を育む」心の原理を【グレートマザー】と呼んでいます。
【無償の愛】の源となるポジティブな面もあれば、子供を丸ごと呑みこまんばかりに抱え込んでしまい、子供の心を領域侵犯してしまうようなネガティブな面もあるわけです。
こうしたお母さんとの癒着があったクライアントからよく聞かれるのはこんな言葉や気持ちです。
「お母さんて自分のことばかりで、私の話なんて聞いてない」
「いつも私の気持ちを分かってくれようとしない」
「私の存在って何なの?」
子供からすれば、ピッタリとくっついてくるお母さんを受け入れ続けるうちに、自分の心がどこにあるのか分からなくなっていき、自分という存在に自信がなくなってしまいます。
その不安も嫌だし、ウザいから離れたいけど、なんだか自分が悪いことをしている気がして苦しくなってしまうこともあります。
愛しているはずの母を嫌い、切り離すことへの罪悪感がつらすぎるために、ついお母さんを悪者にしてしまう、なんてこともよくあるのです。
ですので、「女性が怖くて近づけないんです」というお悩みを伺っていると、根底に母子癒着が隠れていた、というケースは少ないですね。
そうそう、一行目に“最初は”と書いたのは理由があるんです。
講座でもお話しましたが、子供時代から癒着関係だった人は、大人になってからも『癒着した距離感が、その人の基準』になりがちです。
すると、恋人と一緒でないと寂しさに耐えられなくなって鬼のように連絡を入れてしまったり、パートナーのやることにいちいち口出ししてしまい「いい加減にしろ」と言われてフラれたりと、今度は子供時代とは逆に自分が癒着する側になってしまう、というケースはよく起こります。
質問をしてくれた方が、癒着する側か、されている側かは分かりませんが、もし今この問題にお悩みであれば、どちらにせよ相手を手放す(卒業する)ことが求められているのではないでしょうか。
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今回は2つのご質問に回答させていただきました。興味深い問いかけをありがとうございました。
講座をより深く理解いただくための助けになりましたら幸いです。
※参考記事です↓こちらも読んでみてください。
次回オンライン講座で講師をするのは、5/8(日)19時~の恋愛心理学講座です。
テーマはまだ未定ですが、決まり次第わたしのブログと『神戸メンタルサービス』のHPでお知らせしますね。
それでは、皆さんが健康で、心穏やかに、いい時を過ごせますように。
心理カウンセラー
近藤あきとし
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